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再生医療や皮膚試験への応用が期待できる、毛包を持つ皮膚組織の3Dプリント技術

Rensselaer Polytechnic Institute/YouTube

米レンセラー工科大学を中心とする研究チームが、3Dプリントを使用して、培養したヒトの皮膚組織に毛包を作り出すことに成功した。同研究成果は2023年10月13日、「Science Advances」に掲載された。同皮膚技術は、再生医療や皮膚試験への応用の可能性を持つ。

皮膚の毛包は、汗を分泌して体温調節する役割を担い、皮膚の治癒を助ける幹細胞を含んでいる重要な部位だ。また、局部用薬物や化粧品の入口でもあり、皮膚試験の重要な対象となっている。

しかし、ヒト由来の細胞を用いた毛包の再構築は難しく、局部用薬物や化粧品の初期安全試験は、毛包を持たない人工皮膚組織で実施されている。毛包を追加して複雑な皮膚組織を作製できれば、皮膚が局部用薬物とどのように相互作用するかについて、さらに多くの情報が獲得できる。

今回、ヒト細胞の毛包構築に取り組んだのは、血管を伴う皮膚の3Dプリントなどの成果を上げている、皮膚組織エンジニアリングのパイオニアであるレンセラー工科大学の研究チームだ。先行研究では3次元環境での細胞培養が毛包や毛幹生成を誘発することを示しており、研究チームは、細胞レベルで操作できる3Dプリント技術を使って、毛包を持つ皮膚の作製を試みた。

プリントに十分な量になるまで、皮膚と毛包細胞のサンプルを分裂/増殖させ、それぞれの細胞をタンパク質やその他の材料と混ぜ合わせたバイオインクを作製した。バイオインクを堆積させるための極細の針を用いて、皮膚を一層ずつ作り上げると同時に、有毛細胞を堆積させるための溝を作る。時間の経過とともに、皮膚細胞は有毛細胞の周りの溝に移動し、実際の皮膚に存在する毛包と類似の構造が完成する。

現状、作製した組織の寿命は2〜3週間で、毛幹の発達には十分な時間ではない。研究チームの今後の目標は、組織の寿命を延長し、毛包をさらに成熟させ、薬剤試験や皮膚移植の使用を可能にすることだ。同研究は、やけどやその他の皮膚疾患に対するより良い治療法の開発にもつながるという。

fabcross for エンジニアより転載)

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