米Ursa Major、固体ロケットモーター設計製造の新ソリューションを発表
2023/12/26 06:30
ロケット推進装置開発を手掛ける米Ursa Majorは、2023年11月20日、固体ロケットモーター(SRM)の設計製造における新しいソリューション「Lynx」を発表した。発表によると、Lynxは、3Dプリンティングを活用して複数のモーターを製造でき、より迅速で安価なプロセスによってアメリカでのSRM不足を解決するという。
従来のSRMプロバイダーは、増強に費用がかかり、設備を一新しづらいうえ、運用には多大な労働力を必要とする生産ラインに依存している。戦略国際問題研究所(CSIS)のデータによると、ジャベリン、誘導型多連装ロケットシステム(GMLRS)、スティンガーなど、SRMに依存する武器弾薬の在庫は枯渇しており、現状の生産技術に頼っていては在庫の入れ替えには5~18年かかるという。このような生産量では、アメリカの同盟国に供給するには不十分だ。
しかし、Lynxを使用すれば、よりシンプルで迅速にSRMの生産が可能になり、在庫不足を解消するという。Ursa Majorの創設者兼CEOであるJoe Laurienti氏は、「私たちは、付加製造、材料開発、推進力製造における豊富な経験を、SRM業界が直面している最も差しせまった問題に適応させました。その結果、複数のシステムを大量生産し、1つのモデルから別のモデルへ迅速に切り替えて、信頼性の高いSRMを迅速に大規模生産するよう設計された、適応性の高い製造プロセスが生まれました」と述べている。
Lynxは、付加製造マシン1台で、さまざまなモデルに「ワンクリック」で切り替え可能で、直径約51~572mmの多くのモーターに適用できる。このサイズ範囲には、スティンガー、GMLRS、防空システムなど、最も一般的に使用されているミサイルシステムの多くが含まれる。
また、複数用途で共通の推進剤を使用できるようにモーターを設計することで、サプライチェーンの問題を解消して、他の業界パートナーとの協力を強化できるようになる可能性が生まれる。
Ursa Majorは、コア技術を開発中で、2024年中にモーターサイズと用途をさらに拡大する予定だ。
(fabcross for エンジニアより転載)