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面倒なチェーン装着が不要に——現代と起亜、形状記憶合金によるスノーチェーン一体型タイヤ技術を発表

韓国の現代自動車(ヒョンデ)と起亜(KIA)は、スノーチェーン一体型タイヤを開発している。ホイールとタイヤの内側に設置された形状記憶合金製のモジュールが、スイッチ操作によりタイヤの表面にチェーンとして展開されるというものだ。手作業で取り付けや取り外しをしなければならない従来のチェーンと違い、スイッチ操作一つで自動的にチェーンを展開し、雪道を安全に走行できる。

この技術の要となるのが、形状記憶合金製のモジュールだ。タイヤとホイールには、横から見ると「カットされたピザ」のように等間隔で6本の溝が放射状に刻まれており、この溝にモジュールが設置されている。通常モードの走行では、ホイール内の形状記憶合金モジュールがL字型に圧縮されており、タイヤ部分にあるモジュールはタイヤの内側へと引っ込んでおり、モジュールと路面とは接触しない。これをスノーチェーンモードに切り替えると、ホイール内の形状記憶合金部分に電流が流れて、その形状がL字型から本来の形状であるJ字型へと伸長する。それにより、タイヤ部分のモジュールがタイヤ表面より外側に押し出されることで路面と接触、スノーチェーンとして機能するようになる。

また、モジュールが組み込まれている溝は、タイヤの摩耗インジケーターの役割も担う。タイヤの摩耗が進むとタイヤ表面にモジュールが見えてくるため、ドライバーは簡単に摩耗度合いを確認でき、適切な時期にタイヤを交換することができる。

先端シャシー開発チーム長のJoon Mo Park氏は、「将来的に、このイノベーションがヒョンデとKIAの自動車に導入されることを期待しています。先端技術を顧客のためになる実社会のソリューションに変換するという私たちのコミットメントを、このイノベーションは反映しているのです」と、ヒョンデのプレスリリースで述べている。

このスノーチェーン一体型タイヤの技術は、すでに韓国と米国で特許出願している。両社は今後さらなる技術開発、耐久性評価や性能評価、法規審査を経て、スノーチェン一体型タイヤの量産化を計画している。

fabcross for エンジニアより転載)

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