Raspberry Pi Picoなど複数のマイコンでコンピューターアーキテクチャーを自作
2024/01/18 06:30
複数のマイコンを使用するコンピューターアーキテクチャーとOSを自作したプロジェクトを、Raspberry Pi公式ブログが紹介した。
ソフトウェアエンジニアのShane Mason氏は、コンピューターで使用されているオペレーティングシステム(OS)に対する好奇心から、コンピューターハードウェアとOSの自作に取り組み始めた。
Mason氏が作成したコンピューターは、Raspberry Pi Picoに加え、AdafruitやSparkfunのマイコンを搭載している。データバスは1ビット、ディスプレイのリフレッシュレートは約2Hzながら、コンピューターとしての定義要件を一通り備えている。
特筆すべきは、Mason氏がこのプロジェクトに取り組み始めるまでハードウェアの設計や開発をした経験がなく、はんだ付けすらしたことがなかったことだ。自作コンピューターにもかかわらず、配線が整然と配置されていることに対して、このプロジェクトをRaspberry Pi公式ブログに紹介した人からは驚きの声が上がっていたという。
実装されたマイコンの1つであるAdafruit「Feather RP2040」は、キーボードからの入力内容をASCII文字に変換する用途やLCDディスプレイの制御に用いている。また、Arduino互換ボードであるAdafruit「Metro M4 Express」は受信したシェルコマンドを処理し、出力結果を3.5インチのタッチスクリーンディスプレイに表示する。Raspberry Pi Picoは、OS用のユーザーシェル機能を実装するために使用されている。
さらに、SparkFunのAtmega32U4搭載ボード「Pro Micro」は、Adafruitの温湿度センサー「AHT20」から情報を読み取って温度や湿度の情報を0.96インチOLEDに表示するほか、ユーザーのキーボード入力に反応して点滅するフィードバック用ライトの制御も実行する。
Mason氏は、自作のコンピューターアーキテクチャーを日本語でイチジクを意味する「Ficus」と名付けている。アーキテクチャー全体の設計思想はイチジクの木の複雑に絡み合う根や枝のメタファーに基づいており、特定の機能を実行するマイコンはそれぞれ「ノード」を表す。一部のノード名はイチジクの果実や葉、根、幹にちなんで「Ficus Fig」、「Ficus Leaf」、「Ficus Roots」、「Ficus Trunx」と命名されている。
YouTubeで公開された動画では制作の様子に加え、ハードウェアやOSに関する定義などについても解説されている。