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UCSB、暖房費と冷房費の両方を削減できる屋根瓦を開発

UC Santa Barbara/Vimeo

カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究チームが、ワックスモーターによる駆動力を用いて、外部電源なしに、外気温に応じて屋根に設置されたルーバーを自動的に開閉し、屋内気温を調節できるデバイスを開発した。気温が設定温度より高い場合には、ルーバーが開き白色タイルを露出して日光を反射し熱を放散する一方、気温が低い場合には、黒色タイルのルーバーが閉じてフラット状の屋根瓦になり、日光を吸収し放射による熱放散を最小化する。電源供給なしに暖房と冷房を自動的にスイッチし、冬季には暖房費、夏季には冷房費を下げると期待している。研究成果が、2023年12月12日に『Device』誌に論文公開されている。

アメリカにおける建物のエネルギー消費の約半分は、暖房と冷房に使用されており、多額の経費を生じるとともに、環境問題にも大きな負担になっている。屋内を外気温から断熱する建築材料も広く開発されているが、多くの場合、年間または昼夜を通じて暖房と冷房の両方の対策が必要になり、単独の断熱材では対応できない。外気温に応じて電源供給なしに暖房と冷房を自動的にスイッチする技術も開発されているが、スイッチ温度範囲として15℃以上の大きな温度変化が必要であり、現実的な使用には適していない。

研究チームは、狭い温度範囲において固体から液体に変化するとともに、大きな体積膨張を発生するワックスを使用したワックスモーターに着眼し、暖房と冷房を自動的にスイッチできるデバイスの開発にチャレンジした。ワックスモーターは、ワックスが固体から液体に相変態する際に5~20%の体積膨張を示すことを利用して、機械部品を駆動する圧力を発生させることができる。食器洗浄機や洗濯機などの電化製品や温室の温度調整弁に使用されたり、航空宇宙産業などにおける特殊な機器など広汎な用途実績がある。

研究チームは、特にワックス材料として融点が約18℃であり、また3℃という狭い温度範囲で大きな体積膨張を示すヘキサデカン(C16H34)を用いることにした。約10cm四方の黒色タイルをルーバーとして用い、寒冷な外気温ではワックスが固化してルーバーは閉じてフラット状態になり、黒色タイルが日光を吸収し放射による熱放散を最小化して屋内暖房に寄与する。一方、外気温が18℃近傍に達すると、ワックスが溶融して膨張し圧力によりルーバーを開き、白色タイルが露出して日光を反射し熱を放射し、屋内冷房に寄与するのである。また、ワックスは溶融または凍結の過程で大量の熱を吸収または放出するので、屋内温度を更に安定化する効果がある。

実環境における実証実験の結果、通常の反射性または吸収性コーティングで被覆されたスイッチング機能のないデバイスと比較して、冷房に関しては3.1倍の、暖房に関しては2.6倍のエネルギー削減効果が確認された。「未だ概念実証段階であるが、建物のエネルギー消費削減にインパクトを与える技術に発展する」と、研究チームは語る。シンプルな設計でカスタマイズが容易であり、様々な種類のワックスによって作動温度範囲も変更できるとともに大量生産も可能であると期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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