オーロラ観測用全天カメラを安価に自作——PoE給電でRaspberry Pi HQカメラを使用
2024/03/19 06:30
ローコストでオーロラ観測用全天カメラを作成するプロジェクトを、Raspberry Pi公式ブログが紹介した。
オランダ在住のエンジニアであるFrank Prins氏は、北極海に位置するノルウェー領スバルバル諸島を旅行してからずっと、自分専用のオーロラ観測用全天カメラを作成することを考えていた。オーロラはいつも観測できるわけではなく、雪嵐や太陽活動の低下のため、数週間観測されないこともある。また、外の厳しい寒さの中で何時間も過ごす人はほとんどいないため、オーロラが発生しても気づかれないこともあるという。
自作の全天カメラに使用したのは、Raspberry Pi 4 Model B(4GB)、Raspberry Pi PoE+ HAT、Raspberry Pi HQカメラ(M12マウント)だ。北極圏内の高緯度寒冷地に設置するので、マイナス30℃の気温で動作し、マイナス50℃の中でも耐えられるものにしたいとPrins氏は当初から考えていた。また、筐体は防水仕様でなければならないため、DIYショップで入手できる下水管用のポリ塩化ビニル(PVC)管を使うことにしたとのことだ。
Raspberry Pi 4の上にPoE+ HATを設置し、ねじこみ式のふたが付いた直径75mmのPVC管の中に収納している。Raspberry PiとPoE+ HATをPVC管の中で保持するマウントを3Dプリントしており、最初のデザインから改良して、micro SDカードやカメラのリボンケーブルにアクセスしやすくなるようにしている。
HQカメラに接続するケーブルを減らすため、LANケーブルを通して給電するPoEを採用し、空気の流れやケーブルの管理のために穴や切り欠きも追加している。HQカメラは、3Dプリントした部品の端にあるホルダーに収納し、透明アクリルドームで厳しい気候から保護している。
全天カメラの作成総費用は約273ユーロ(約4万4000円)で、2000ユーロ(約32万円)以上もする市販の全天カメラよりもずっと安価で作成している。プロジェクト解説ページでは、作成に要したハードウェアの全部品の価格が公開されており、3Dプリント用STL/F3Dファイルを公開しているThingverseやGitHubへのリンクも記載されている。今後は、オーロラが発生した際にリアルタイムでアラートを送信するアプリも作成する予定だ。