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コストを70%低減する両面太陽電池パネルを開発

英サリー大学とケンブリッジ大学、中国科学院などの共同研究チームが、太陽光を両面から取り込んで発電できる、両面太陽電池パネルを開発した。両面パネルは、コストをかけずに既存片面パネルより効率良く発電可能だ。

同研究成果は2024年3月12日、「Nature Communications」誌に掲載された。

コンクリートや草地などの表面からの反射光が、太陽光の20%以上を占めると従来の研究で報告されている。両面パネルは、周囲の反射光を含んだあらゆる方向からの太陽光エネルギーを取り込んで発電できる。

今回開発された太陽電池パネルはフレキシブルなペロブスカイトでできている。これまでの太陽電池パネルは、前面に透明電極、背面に金属電極を張り合わせた構造を持ち、前面からしか光を取り込めなかった。

研究チームは、ペロブスカイト型太陽電池の基本構造である、電子輸送層/ペロブスカイト層/ホール輸送層の両面に、単層カーボンナノチューブ(CNT)からなる透明電極を貼り付ける技術を開発した。

単層CNTは、2nm程度の太さを持つチューブ状の炭素分子で、優れた導電性と安定性、柔軟性を持つ。単層CNT薄膜は溶液転写プロセスにより、透明電極を容易に作製可能だ。

開発した両面太陽電池パネルは、背面パネルが前面パネルの97%というほぼ同等の発電能力を持ち、1平方センチメートル当たり36mW以上の高い発電密度を示した。さらに研究チームは、材料コストを計算した結果、従来の片面太陽電池パネルに比べて費用を最大70%削減できることが分かったという。

「私たちの両面太陽電池パネルは、これまでで最高効率の単接合型太陽電池であり、通常の片面太陽電池パネルよりも製造コストを70%低くできます。これはペロブスカイト太陽電池の市場を変える可能性があります」と、サリー大学のRavi Silva教授は説明した。

fabcross for エンジニアより転載)

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