新しいものづくりがわかるメディア

RSS


Formlabs、光造形3Dプリンター「Form 4」を発表——造形速度3.5倍、造形サイズ30%拡大

Form 4(左)とForm Wash 第2世代(右)

Formlabsは2024年4月17日、SLA(光造形)方式3Dプリンター「Form 3」の後継機種「Form 4」と自動洗浄機「Form Wash(第2世代)」を発表した。「Form 4」ではLFD(Low Force Display)と呼ぶ独自の機構を新たに搭載。60個のLEDからの光をレイヤーの形状に変形させてレジンを硬化させることで、造形速度の大幅な向上を実現した。2024年5月1日に出荷を開始する。

Formlabsは、当時マサチューセッツ工科大学の研究生だったマキシム・ロボフスキー氏らが2012年に創業。光造形3Dプリンターを中心に、これまでに全世界で13万台以上の製品群を販売している。

今回発表したForm 4は、2019年に発表したForm 3の後継となる3Dプリンター。最大造形サイズはForm 3が145×145×185mm(幅×奥行き×高さ)に対してForm 4は200×125×210mmと約30%拡大。積層ピッチは25~300μmで変わらず、外形サイズと重さはForm 3が405×375×530mmで17.5kgに対して、Form 4は398×367×554mmで18.3kgだ。積層ピッチを100μmとした場合の平均造形速度は40mm/h、最高造形速度は100mm/hとなっている。

価格は4499ドル(約69万円)で、2024年5月1日に出荷を開始する。なお、日本では代理店を介しての販売となり価格は未定。Form 3は併売する。

photo ビルドプラットフォームはForm 3(左)と比較して、30%面積がアップした。
photo 本体前面にはフルカラー液晶モニターを搭載する。
photo 左からForm 2、Form 3、Form 4

高速造形の需要から生まれた光学系機構LFD

一般的な光造形方式の3Dプリンターは、透明なトレーに光硬化樹脂を注ぎ、底面からレーザー光を当てることで硬化させている。FormlabsでもForm3までの光造形方式3Dプリンターでは、この構造を採用していた。

Form 4が搭載するLFDは、本体底面に60個のLED、バッフル板とレンズを重ねたバックライトユニットを採用したことで、均一かつ平行度の高い光の照射が可能になった。

photo
photo バックライトユニットのLED部分(上)のみの状態と、バッフル板とレンズアレイを被せた状態(下)

バックライトユニットからの光を偏光板と液晶ディスプレイからなるライトプロシングユニット(LPU)を通すことで、造形データのレイヤー形状に光を変形させている。

これまでレーザー光が一筆書きのように動いてレイヤーを硬化させる方式から、3Dデータの形に合わせた光を照射する方式に変更したことで、一層あたりの造形にかかる時間の短縮化を実現している。

また、独自の光学フィルムを用いることで、レジンタンクの底部のフィルムとLPUの間に空気の通り道を作り、ビルドプラットフォームから造形物を外す際の剥離力を低減できるとしている。

photo Form 4と同社純正のClearレジンで造形したサンプル。造形時間は30分

最大造形速度はForm3の2倍から5倍の速度で造形が可能となり、Form 3+で6時間54分かかっていた造形物を、同じ条件でForm 4で造形した場合は2時間10分で造形可能としている。

バックライトユニットは6000時間分の照射が可能で、同社の平均的な3Dプリンターの稼働時間に照らし合わせると約20年分に相当するという。

レジンもアップデート&省スペース化

photo 画像提供:formlabs

レジンは、Form 3でも提供していたレジンをForm 4専用にアップデート。色味や仕上がりを調整した定番のレジン37種類を用意する。さらに6種類の専用レジンも今後提供予定だ。また、従来から提供していたOpen Platform機能を通じて、同社認可済みのサードパーティー製レジンも使用可能だ。

専用カートリッジはバルブシステムの改良により、Form 3と比較して、5〜10倍速く充填する。また従来のカートリッジと同容量を保ちながら小型化を実現。より保管しやすく、プラスチックの廃棄量削減にもつながる。

photo Form 3のレジン群とForm 4のレジン群の対照表。(画像提供:formlabs )

Form 3と同時にリリースされた試作開発用レジン「Draftレジン」は、「Fast Modelレジン」と名称を変更した。Form 4に合わせて改良を行った結果、造形速度はForm 3とDraftレジンV2使用時と比べて3倍にアップしている。

また、歯科用レジンの「Modelレジン」は「Precision Modelレジン」と名称を変更、性能もアップデートしている。

photo Draftレジンを使った造形サンプル

Form 2、3のビルドプラットフォームにも対応したForm Wash(第2世代)

photo 画像提供:formlabs

また、造形物を洗浄するForm WashもForm 4と同じタイミングで発表された。拡販機能が向上し、最大容量は15リットル。Form 2、Form 3のビルドプラットフォームにも対応する。

造形物のサイズに応じて溶剤の使用量を調整することで、溶剤の使用量を第1世代よりも少なく抑えることができるという。

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る