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実用性の高い成膜技術によって、フレキシブル太陽電池で最高水準の発電効率を達成

CREDIT: IENERGY, TSINGHUA UNIVERSITY PRESS

中国の清華大学と国立ナノ科学技術センターの研究チームが、フレキシブルなペロブスカイト太陽電池(PSC)の効率を向上させる成膜技術を開発し、最高水準の電力変換効率を達成した。

同研究成果は2024年3月22日、「iEnergy」誌に掲載された。

フレキシブルPSCは、航空宇宙やウェアラブルエレクトロニクスなどの分野で応用が期待されている。しかし、ペロブスカイト膜の下地となるポリエチレンテレフタレート(PET)基板が柔らかく不均一なため、ガラス基板を利用するリジッドPSCに比べて、フレキシブルPSCの電力変換効率は低い。また、リジッドPSCとは異なり、フレキシブル基板には水や酸素の侵入する穴が空きやすく、ペロブスカイトの劣化原因となる。

PSCにとって電子輸送層は効率に影響を与える重要な要素であり、酸化スズ(SnO2)は有望な電子輸送材料とされている。SnO2の成膜にはさまざまな方法が開発されているが、化学浴析出(CBD)法は、成膜方法が簡単で膜の均一性が高く、コストが低いため、有力な手法だ。

研究チームは、温和な条件下でフレキシブル基板上にSnO2を成長させるCBD法を開発した。同手法は、従来の塩酸を添加する手法と異なり、SnO2のスズ前駆体に塩化スズ(II)(SnCl2)ではなく硫酸スズ(II)(SnSO4)を使用するため、酸に敏感な基板に穴を空けずに、高品質のSnO2電子輸送層を成膜可能である。

同手法により、研究チームは、フレキシブルPSCの最高電力変換効率25.09%(認証24.90%)という新たなベンチマークを達成した。また、SnSO4を使用したPSCは、セルを1万回折り曲げた後も初期電力変換効率の90%以上を維持することが実証された。今回の手法はCBD溶液を再利用でき、フレキシブルPSC製造において拡張性の高い実用的な手法である。

「最終的な目標は、高効率なフレキシブルPSCを実験室規模から工業生産へと移行させ、ウェアラブル技術や携帯電子機器、航空宇宙用電源、再生可能エネルギーソリューションなどのさまざまな分野で本技術を広く商業利用化することです」と清華大学のChenyi Yi准教授は説明した。

fabcross for エンジニアより転載)

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