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東芝、少量データによるオフライン強化学習で複雑なロボット操作を制御するAIを開発

東芝は2024年5月10日、少量のデータによるオフライン強化学習を用いて複雑なロボット操作を制御するAIを開発したと発表した。

開発したのは、人手によるティーチングから作成したデータを用いて、複雑で高精度なロボット操作をAIに学習させられる手法だ。製造現場などの自動化を促進し、人手不足の解消を狙う。

現在、製造現場などでロボットを導入して複雑な作業をさせるためには、対象物の位置や向きなどの状態推定や、状態ごとの動作計画などを専門家が設計/開発する必要があり、人手で学習させている。

従来の強化学習ではロボットを実際に稼働させ(オンライン)、AI自身が試行錯誤して学習する方法だったが、オフライン強化学習では、あらかじめ人によって作成されたデータを使用して学習する。少量の学習データで高い精度を達成できるため、学習データの作成にかかる時間やコストを削減できるのが利点だ。

このAIは、理化学研究所 革新知能統合研究センター長 兼 東京大学 大学院新領域創成科学研究科教授の杉山将氏との共創による成果で、ロボットアームの作業状況を撮影した画像から注目領域を切り出して制御の微調整を行う、2段階制御を学習する技術を開発し、精度の大幅な改善を実現した。

具体的には、ロボットアームの操作範囲を撮影した画像から移動先を決定する制御を学習し、のちに移動先周辺のみを切り取った画像から、移動先を補正する制御を学習する。従来の手法では学習していなかった2段階目の制御を行うことで、ロボット操作の精度が大幅に向上した。

公開ベンチマーク環境でピッキングや物を置くといった8種類の作業のシミュレーション評価を実施したところ、作業の平均成功率は従来手法の36%から72%に改善した。

また、この新しい手法では、学習データの作成に必要な時間も短縮される。100回分の学習データを作成するのにかかる時間は半日ほどとなるため、従来よりも迅速かつ効率的にAIを導入し、機器制御が可能になる。

製造現場や医療分野などで自動化を推進し、人手不足の解消に繋げることが期待される。同社は、この技術を2024年5月13日から17日にかけて開催される国際学会「ICRA(IEEE International Conference on Robotics and Automation)」で発表する予定だ。

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