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落ち葉にレーザープリントして医療/研究用の電気化学センサーを作る——ドーパミンなどの検出が可能

CREDIT: BRUNO JANEGITZ

ブラジル サンパウロ州研究財団(FAPESP)は2024年5月8日、サンカルロス連邦大学とサンパウロ大学を中心とした研究チームが、落ち葉に電気化学センサーをプリントする手法を開発し、作成したセンサーによるドーパミンやパラセタモール(アセトアミノフェン)の検出に成功したと発表した。

3Dプリンティングによるセンサー製造は、スピード、設計の自由度、廃棄物を基板として使用できる可能性を兼ね備えており、これまでにも、通常廃棄される物を低コストの資源として利用する循環型経済において、さまざまな成果が得られている。しかし、3Dプリント製造に使用される原材料はプラスチック材料に依存する傾向がある。

研究チームは、CO2レーザーを使い、熱分解と炭化によって目的の設計を葉にプリントした。レーザー光線が葉のセルロースをグラファイトに変換する熱分解プロセスで葉を焼き、グラファイトがセンサーとして機能するのに適した形状で葉にプリントされる。この製造工程の間、レーザー出力、熱分解スキャンレート、スキャンギャップなど、CO2レーザーのパラメーターは系統的に調整され、最適な結果を得られるようにしている。

ドーパミンまたはパラセタモールの化合物を含む溶液をセンサーに1滴垂らすだけで、センサーに接続されたポテンショスタット(定電位電解装置)がその濃度を表示する。

このセンサーは形態学的および物理化学的手法によって特性評価され、葉に生成された新しい炭化表面を徹底的に調査できた。

さらに、生体試料や試供医薬品に含まれるドーパミンとパラセタモールの検出を含む試験も行われ、センサーの適用性が確認された。ドーパミンの場合、線形範囲10~1200マイクロモル/Lで効率的であることが証明され、検出限界は1.1マイクロモル/Lだった。パラセタモールについては、線形範囲5~100マイクロモル/Lでうまく機能し、検出限界は0.76マイクロモル/Lだった。

概念実証として行われたドーパミンとパラセタモールに関するテストで、木の落ち葉から作られた電気化学センサーは満足のいく分析性能と再現性を達成し、従来の基板に代わる可能性を示したといえる。研究チームは、落ち葉を使うことでコスト削減はもちろん、環境の持続可能性という点で大きな利益が得られるとし、次世代電気化学センサーの製造における大きな進歩だとしている。

この研究は、2024年2月13日付で『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』に掲載された。

fabcross for エンジニアより転載)

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