人工芝の温度上昇の問題を克服する地下貯水システムを開発
2024/08/23 06:30
オランダ水循環研究所(KWR)は2024年7月9日、人工芝のフィールドに地下貯水と毛細管灌漑(かんがい)システムを配置した「冷却芝(cooling turf)」を開発し、従来の人工芝に比べて表面温度が大幅に低下したと発表した。
近年、都市部の公園や公共のスポーツコートの天然芝は、耐久性の高い人工芝に置き換えられることが多い。しかし、人工芝の表面温度は晴天時に70℃近くまで上昇するという問題がある。これは、火傷や熱中症などが懸念されるほどの温度だ。
この問題に対して科学者らは、人工芝のスポーツフィールドに地下貯水と毛細管灌漑システムを組み込む手段を構想した。人工芝と衝撃吸収材の下に貯水層を設置し、そこに雨水を貯める仕組みだ。蓄積された水は、シリンダーが人工芝の表面に送達して蒸発する。
アムステルダムで実施された実験では、この冷却芝によって表面温度が低下することを確認した。2020年6月の特に暑い日、従来の人工芝の表面温度は62.5℃に達したが、これに対して冷却芝の表面温度は37℃で、天然芝に対して1.7℃高くなるにとどまった。
冷却芝には耐久性があり、涼しさを保ち、天然芝とほぼ同じ量の雨水を保持するため、都市部の洪水の軽減に寄与する。降水量が少ない時期には、直接水を貯めることもできる。
ただし、冷却芝の設置コストは従来の人工芝の最大2倍になる。研究者らは、投資判断には本格的な費用対効果分析が必要と説明している。多様な気候や貯蔵庫のサイズ、素材、充填材の利点を調査し、周辺地域や都市全体への影響を詳しく確認しなければならない。
(fabcross for エンジニアより転載)