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傷んだ牛乳を開封せずに検知する、プリンテッドエレクトロニクスによるIoT技術

Canadian Light Source/YouTube

カナダのサイモンフレーザー大学とサスカチュワン大学の研究チームは2024年8月19日、薄く柔軟性のあるシート状の電子回路技術「プリンテッドエレクトロニクス(printed electronics)」を応用し、冷蔵庫を開けずに中の牛乳が腐っているかどうかを判断できる技術を発表した。

両研究チームは、サスカチュワン大学内のCanadian Light Source(CLS:カナダ国立シンクロトロン光源施設)を使って、既存のプリンテッドエレクトロニクスの1000倍の電荷を蓄える材料を開発した。

プリンテッドエレクトロニクスはすでに、自動車の屋根に搭載する太陽電池や、スマートフォンのフレキシブルディスプレイなど、多様な製品に使用されている。

研究チームはこの開発により、長年議論されてきたIoTのコンセプトが一歩現実に近づくと説明している。IoTの実装例は多様だが、例えば牛乳パックや冷蔵庫など、身近な「モノ」にプリンテッドエレクトロニクスを追加することで、モノとスマートフォンやコンピューターと通信を仲介する機能だ。食品業界では、サプライチェーンのあらゆるレベルにおいて、廃棄や腐敗を最小限に抑える上でIoTを活用できる。

この機能をIoTとして実装するには、正負両方の電圧モードで機能し、電子機器でのみ可動する回路と高度な制御が必要となる。そのために、研究チームが開発した材料が有望視されているという。

研究チームは、CLSの高輝度放射光で材料を分析し、材料のナノスケールレベルの構造を理解し、何が優れた性能を実現して、何がそれを妨げているのかを理解した。収集したデータから、材料をさらに改良するためのいくつかの方法を模索し、材料の特性を改善した。

研究チームの予想では、プリンテッドエレクトロニクスが市場に出回る時期はおよそ7年後と予想している。その時期になれば、プロトタイプを製作する段階で、今回の材料はすぐに導入できると想定している。

今回の研究成果は、『ACS Applied Materials and Interfaces』誌に掲載されている。

fabcross for エンジニアより転載)

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