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糖尿病、心臓病、アルツハイマー病を発見できる画期的な高精度検眼鏡を開発へ

Photo by Chris Meyer, Indiana University

眼の状態から全身疾患の病態を把握する「オキュロミクス(oculomics)」は、新たな分野として注目されている。インディアナ大学、ノースウェスタン大学、スタンフォード大学、マウントサイナイ・ニューヨーク眼耳病院からなる共同研究チームは、米国立衛生研究所(NIH)のベンチャープログラム「オキュロミクス・イニシアチブ」に選ばれ、3年間で480万ドルの助成金を獲得した。

研究チームはこのプロジェクトで、眼球をスキャンするだけで、糖尿病や心臓病、腎臓病、鎌状赤血球貧血症、アルツハイマー病などの兆候を早期に発見する次世代の高精度検眼鏡(high-precision ophthalmoscope)の開発を進める。

プロジェクトの主任研究者であるインディアナ大学のStephen A. Burns教授は、「われわれの研究は、健康状態を知る窓として眼球を利用しようというものです。網膜は、直接観察できる唯一の中枢神経系です」と、述べている。Burns教授は2000年代初頭から、眼を通して病気を発見する技術を開発してきた。もともと星の輝きや地球の大気による歪みを排除するために天文学分野で開発された適応光学操作レーザーシステムを、眼の光学系に応用するというものだ。Burns教授らが開発した高精度検眼鏡は、人間の眼の奥を2μmの解像度で観察できる。この解像度は、眼の動脈と静脈の赤血球をリアルタイムで観察できるスケールであり、この技術を用いて眼の血管壁における糖尿病と高血圧のバイオマーカーを特定している。

ノースウェスタン大学とマウントサイナイ・ニューヨーク眼耳病院は、同様の技術を利用して鎌状赤血球貧血症で見られる赤血球を観察している。また、スタンフォード大学では、適応光学を用いて、光受容体の観察を改善している。NIHの支援を受けて、それぞれの研究プロジェクトを統合し、機械学習とAIの手法を開発する計画だ。さらに、心臓病やアルツハイマー病の初期症状を特定する技術としても応用予定だ。

Burns教授によると、アルツハイマー病と網膜血管には強い関連があるというエビデンスが増えているという。「現在でも、高額で大型装置のPETを使えば兆候を確認することができますが、網膜スキャンで同じことができるのであれば、はるかに低侵襲で低コストです」と述べている。また、60歳以上の人の80%がこの技術で検出可能な健康問題を1つ以上抱えている可能性があるとBurns教授は考えており、この技術を研究室から「年に1回、眼科検診を受ける場所」に飛躍させることを目標としている。

fabcross for エンジニアより転載)

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