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布を発電機に変える新しい絹糸を開発

Photo: Youngseok Kim

熱電変換繊維は、ウェアラブルデバイスの電源として注目されている。しかし、安定的な電気伝導性と繊維に適した性質を併せ持つ素材が少ないため、これまで開発は困難だった。スウェーデンのチャルマース工科大学を中心とする研究グループが10月31日、導電性プラスチックでコーティングした絹糸を開発したと発表した。この絹糸は、体と周囲の空気の温度差を電気エネルギーに変換する。

研究グループは、これまでも同様の製造方法で導電性糸の研究を続けてきた。以前に開発した導電性糸は、空気との接触における安定性を維持するために金属が含まれていた。その後、炭素ベースの有機ポリマーのみを使用する糸の開発に成功している。

今回の研究では、電気伝導性と安定性を向上させた新しいタイプの糸を開発した。その鍵となったのは、最近新たに発見されたポリマーだ。「このポリマーは、空気との接触における性能安定性に優れ、同時に電気伝導性も非常に高いのです。ポリマーを使用することで、一般的に電子機器に使用されているレアアース金属を使用する必要がありません」と、論文の筆頭著者であるMariavittoria Craighero氏は述べている。

研究チームは実用例として、この絹糸でつけたボタンと糸を織り込んだ布地を作製した。布地を高温面と低温面の間に置くと、電圧は上昇した。発電量は温度差と布地内の導電性物質の量によって異なり、大きな布地では温度差30℃で約6mVを計測した。理論的には、電圧変換機と組み合わせれば、USBコネクタ経由で携帯電子機器に充電することが可能だ。

開発した熱電変換糸の性能は、少なくとも1年間維持される。また、洗濯機で洗うことも可能で、7回の洗濯後も糸の電動特性の3分の2を維持していた。M. Craighero氏は、この結果は非常に良いものではあるが、商業的に考えると大幅な改善が必要だとしている。

熱電変換布地と熱電変換ボタンは、現在のところ研究室の環境以外では効率的に生産することはできない。素材は手作業での製造であり、ボタンは縫い付けるのに時間がかかる。今回使用した布地に縫い付けるだけで、4日間を要した。

しかし、研究グループはこの新しい糸には大きな可能性があり、自動化プロセスを開発し、規模を拡大することができると考えている。

いつの日か、運動中に健康状態をモニタリングしたり、携帯電話を充電できる衣類ができるかもしれない。

研究成果は、『Advanced Science』誌に2024年8月5日付で公開されている。

fabcross for エンジニアより転載)

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