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地域に必要とされるファブ施設とは何か——3/18~20に北九州でファブ施設サミットが開催

2017年3月18日(土)から20日(月・祝)まで、福岡県北九州市の北九州イノベーションギャラリー(KIGS)で、ファブ施設の在り方について施設運営者や関係者が講演、議論するイベント「MAKERS & FABBERS 2017 in KITAKYUSHU」が開催される。

日本全国に増え続けるファブ施設の課題

「メイカーズムーブメント(Makers Movement)」という言葉が躍った2012年以降、日本各地で気軽にデジタルファブリケーションができるファブ施設やメイカースペースと呼ばれる本格的な工房は年々増えている。fabcrossが2016年に調査した時点では日本各地に120カ所の施設がある。

3Dプリンタやレーザーカッターなど低価格化が進み民主化された工作機械や、ArduinoやRaspberry Piといったオープンソースハードウェアを使って、手頃な費用でに電子工作やプロダクトの試作開発にチャレンジできる環境を提供するファブ施設。個人作業だけでなく、その場に集まる人たちとの交流を通じて、パーソナルで小さなイノベーションを生み出す拠点として、個人だけでなく、さまざまな企業や行政機関が運営に携わるようになった。

しかし、ファブ施設というモデル自体が未だスタートアップであり、成長の先にある出口はトライ&エラーの繰り返しである箇所も少なくない。有り体に言えば、持続可能なモデルが確立されたものではない。

全世界に1000拠点があり、日本国内でも18拠点あるFabLab(ファブラボ)。日本での発起人であり、今回のイベントにも深く関わっている慶應義塾大学環境情報学部教授の田中浩也氏はファブ施設を取り巻く状況について、楽天的には捉えていない。

「いま、全国各地で、ファブ施設やメイカースペースを立ち上げてみたものの、その後の運営方針、目指すもの、成果、評価、やりかた、目的等が分からないという場所が続出しています。このままでは、無残な『箱モノ』化してしまいますが、その解決の糸口を誰もが求めていると思います。『このままでは箱モノ化してしまうな、やばいな』と心のどこかでは薄々感じながらも、突破口や解決策が見いだせないでいるのです」

事業計画が無いまま出来上がった行政機関による公共事業を指す「箱モノ」という言葉をあえて出す背景には強い危機感があり、このイベントを通じて解決の糸口を見つけ共有したいという思いがある。

「各施設での事例の共有や議論を通じて、共通の悩みを抱えた全国のファブ施設間、メイカースペース間でネットワークが構築したい。魔法の杖のような解決策が見いだせないとしても、コミュニティとして、共に歩んでいく関係性が生まれるイベントにしたいと考えています」

6つのテーマから紐解く解決策

イベントは19日の「KIGS地域ものづくり未来フォーラム」を中心に、18日にファブ施設関係者向けのワークショップ(受付終了)、20日は小学生親子・中学生を対象としたワークショップが開催される。

19日には10時から「ファブ施設とメイカースペースのこれまでとこれから」というテーマで田中浩也氏が基調講演を行う。当日はインターネットでの映像配信も予定されている。基調講演後には日本各地のファブラボをオンラインでつないで各スペースの活動や現状を共有するFabLab Japan Remote Meetingが開催される。各地域のラボ同士がどのように情報共有しているか、その一端がわかる時間になっている。

14時45分からは2部構成でトークセッションが開催される。前後半、各3セッションに分かれ、ファブ施設と関係の深いテーマでのトークセッションが予定されている。

教育のセッションでは2020年のプログラミング教育の必修化を期に注目が集まるSTEM教育を題材に、国内のファブラボでの取組や小学校との共同プロジェクトの事例を紹介しながら、学校と地域とファブ施設が連携した「つくる」教育のあり方について掘り下げる予定だ。モデレーターは国際STEM学習協会の渡辺ゆうか氏。

ビジネスのセッションではファブラボ太宰府を運営するホームセンター「グッデイ」の柳瀬隆志氏がモデレーターを務める。

運営母体や目的によってビジネスモデルは多種多様ではあるが、持続可能な形をあらかじめ設計しておくことが重要だ。このセッションではファブ施設を経営する上で押さえておきたい基本と、具体的な事例を紹介する。ゲストにはTECH PARK MAKERS/ファブラボ天神を運営するグルーヴノーツの佐々木久美子氏と、fabcross編集部から越智岳人が参加する。

国際協力のセッションではガーナ、フィリピン、台湾、静岡県浜松市にある各ファブラボ関係者がインターネット経由で参加。モデレーターの田中浩也氏と共にファブラボをベースとした国際交流の実例を紹介する。また、「地域に根差した運営」と「海外にも開かれた運営」を両立していくためのノウハウについても議論する予定だ。

地域資源のセッションでは、自治体やNPOが地域資源活用にファブ施設を導入する事例が増加していることを背景に、デジタルファブリケーションを活用した地域活性の事例紹介と、今後のあり方について議論する。モデレーターは高知県佐川町で「さかわ発明ラボ」を運営する森川好美氏。

Makerのセッションでは、ファブ施設や廉価な工作機械を活用して個人でもプロダクト開発を行うMakerをテーマに、ものづくりのエコシステムの中でMakerとして生き抜いていくためのスキルやブランディングなどのあり方や、ビジネスへのアプローチについて議論する。モデレーターは沖縄のSTARTUP CAFE KOZA内にあるデジタル工作室「沖縄ミライファクトリー」の西村大氏が務める。

研究のセッションでは九州大学芸術工学研究院准教授の城一裕氏がモデレーターを務める。ファブラボの活動を支援する国内の大学研究者たちによる取組「ファブリサーチ」での最新研究成果やこれまでの事例を紹介すると共に、ファブラボと大学との協働のあり方について議論していく。

各セッション、講演の参加費は無料。申し込みはオンラインで受け付けている。

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