fabcross独自調査
【2016年版】日本のファブ施設調査——前年比で50%増! 大規模施設から地域コミュニティまで続々増え続ける現状d
fabcrossでは「fabなび」というコーナーで日本全国のファブ施設を紹介しています。2015年11月に日本のファブ施設の現状をまとめた調査を発表しましたが、今回は2016年版のデータを公開します。併せて、2015年から2016年にかけての動向についてまとめました。
昨年比で50%増! 全国で施設は増加傾向
fabcrossが独自に調査した結果、2015年の調査実施時から44施設が新たにオープンし4施設がクローズ。合計で40施設増加という結果になりました。地域別では関東、中部、関西を中心に増えています。また2015年に1カ所だった四国は2施設がオープンし3カ所に。
東京・六本木にTechShopの日本一号店がオープンするなど大型施設も増えていますが、個人会員を対象とした小規模~中規模の施設の増加が目立っています。また、カインズなどものづくりと親和性の高い小売店の中に工房を開設する流れもあり、気軽にものづくりをできる場所が増えつつあります。
これがそろえばファブ施設?——導入率の高い機材トップ10
2015年にまとめた機材導入率と地域ごと導入数については、入れ替えや故障などの事情で機材が頻繁に増減することから調査形式を導入率に集約しました。今回はトップ10形式で紹介します。
2015年度調査ではトップ4(3Dプリンタ、レーザーカッター、カッティングマシン、3Dスキャナ)を紹介しました。上位3機種に変更はありませんでしたが、3Dスキャナを制して4位にミシンがランクインしています。画像データを入力すれば、その通りに刺繍するデジタルミシンの導入も増えており、レーザーカッターに次ぐ2Dデータ加工ツールとして注目を集めています。
ファブ施設で使う機械といえばデジタル工作機械を真っ先に思いつくかもしれませんが、ボール盤や丸のこといったアナログ工作機械を用意する施設も少なくありません。
また10位にUVプリンタがランクイン。革、アクリル、ガラス等さまざまな素材にプリントできることから昨今ワークショップでも人気の機材です。
編集部が独断と偏見で選ぶユニークな施設
決まった型があるようで無く、ユニークな施設が多いというのもファブ施設ならではの特徴です。fabなび未掲載の施設の中から、編集部が選んだユニークな施設をピックアップしてご紹介します。
駅の中で3Dプリントができる「駅ファブ」(山形)
JR米沢駅の舎内にある「駅ファブ」。運営するのは山形大学工学部の古川研究室です。駅舎内にあった多目的スペースを活用し、土曜日だけ3Dプリンタやレーザーカッターが使えるファブ施設として運営しています。地元の高校生が講師をつとめる3Dモデリングのワークショップを開催したり、3Dプリンタを食品用型に活用した食品開発プロジェクトなど、さまざまな取り組みが生まれる場となっています。
https://www.facebook.com/ekifab
スーパーマーケット×fab 「Fresh Lab Takayama」(岐阜)
Fresh Lab Takayamaは岐阜県高山市にあるスーパーマーケット「エブリ東山店」にあるファブ施設。
デジタル工作機械だけでなくキッチンもあるのが特徴です。料理教室からレーザーカッターの講習、地方への移住をテーマにしたイベントまで、さまざまな催しが開催されています。
本格的な工作機械が集まる工房とは別に、こうした地域の生活に根差したファブ施設も今後増えていくかもしれません。
築100年超えのファブ施設「N5.5」(京都)
M5.5は築100年超で空き家となっていた京町家をリノベーションした工房付きシェアスペース。
アナログ・デジタルを問わず異分野のものづくり従事者をつなぐことで新しいシナジー効果を生み出すというビジョンのもと、光造形方式の3Dプリンタや切削加工機、真空注型機などビジネスでの利用にも対応できる機材が利用できる予定です。
※2016年11月現在、工房の運用は2017年初頭にむけて準備中とのことです。
調査概要
- 今回のファブ施設の調査は2016年10月1日から11月1日にかけて、主にこれまでの取材記録やインターネット検索、電話取材を基に調べた結果です。
- 調査結果をまとめたグラフの著作権はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際)を採用しています。ライセンスで認められている範囲において自由にご利用下さい。