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1カ月1000円工作

1000円以内で役立つお盆を作ろう! お盆だけに……

一人1000円以内でものづくりをしていただく「1カ月1000円工作」。なんと第10回を迎えることができました! ありがとうございます、ありがとうございます。

レギュレーションはいつも通り。材料費1000円以内で、テーマに沿ったものを作っていただきます。加工にかかる費用は含みません。

さて、今回も1000円でものづくりをしていただきました。お題は「お盆」。そう、世間はお盆。だからお盆です。いわゆるトレイです。

メンバーはこちらです。

(左から)
武井祐介さん
メーカー勤務の機械設計エンジニア。週末はTAK-TEKの屋号で、さまざまなジャンルの人と一緒にものづくりを行っている。

皆川めぐみさん
ハンドメイドとデジタル・ファブリケーションの境目で、「無いならつくる」を口癖に活動するデザイナー。デザインの学校で先生もしている。

ひとしんしさん
世の中を台無しにするようなアイデアとクリエーションを創出するひと。会社員をしながらinspireをnextしつづけている。

やまざきはるきさん
デジタル広告会社「スパイスボックス」に所属するテクノロジスト。ちょっと先の未来のコミュニケーションについて日々プロトタイピングしている。光る工作が得意。

 

今回、やまざきさんが所用でおやすみ(時間を勘違いしていた)ということで、やまざきさんだけ集合写真は透過率70%でお届けしております。

それでは、さっそくみなさんの力作をご覧ください。

ランダムな曲線を使った実用的なお盆

まずはひとしんしさんから。一見、普通の板のような……。「今回は実用的なものを作ろうと思いました」とのこと。

スマホや小物などを置くためのトレイです。最大の特徴は、その表面。

そう、なんか凸凹しているんです。これはなんでしょう?

「この凸凹は、グラスホッパーというソフトでランダムに作り出したものです。そのデータをFusion 360で若干加工して、切削機のKitMill SR200で削り出しています。切削には10時間くらいかかりました」

なかなか時間がかかっていますね。材料はなんでしょうか。

ホームセンターで売っていた、パインの集合材でできたプチ棚板なんですね。この板がおしゃれなトレイに大変身したというわけ。

「ちゃんと100円ショップで買ったエキストラヴァージンオイルでフィニッシュしています」

うーん、こだわってますね。これ、かなりオシャレ度高いですよ。表面の凸凹があることで、指輪などの小物を置いたときに角度がついて見やすくなりますし、指先で取りやすいという利点もあります。

玄関やベッドサイドに置いて、気軽に小物を置くのを想定しているそう。うん、これは実用的かつオシャレ。なかなかいいプロダクトなのではないでしょうか。

材料費は668円です。

武井・皆川夫妻は二人で専用ものづくりトレイをメイク!

さて、お次は武井・皆川さんの作品です。ちなみにお二人はご夫婦です。さて、何を作ってくださいましたか?

ん? なんかおしゃれなデザインの箱のようなものですが……。なんですか?

武井さん曰く

「僕らはものづくりのときに、細かいものが散らばらないようにトレイを使うことがあります。そこで、それぞれの作業に特化したトレイを作ってみました」

とのこと。

まずは武井さんから。

ふたを開けると、こんな感じです。武井さんのものは、電子工作用トレイ。テスト用の電源が必要なので、グラウンドと3.3V、5Vの電源がとれるようにしています。

おお、電源が載っています。これは、USBで給電するようになっているので、モバイルバッテリーやACから給電できます。

microUSB端子が外側にありますね。

小さなケースも入っています。ここには抵抗やLEDライトの切断した足などを入れておくそう。細かい部品を入れておけるので、紛失せずにすみますね。

ふたのほうはホワイトボードを貼り付けているので、直接文字を書き込んだり、マグネットでメモを貼り付けたりすることが可能。なかなか機能的です。

一方皆川さんのほうはというと……。

「私は、アクセサリーを作っているので、細かい部品を出しておけるトレイを作りました」

なるほど。箱内に配置されているのは100円ショップの使い捨てパレット。これを2つ組み合わせてぴったりに収めています。上の広い部分は大きな材料置き場となります。

鏡もついてますね。これはどうやって使うんですか?

「イヤリングを作るときなどはチェーンの長さををチェックする必要があります。そこで、ここに鏡があれば便利かなと思って付けました」

なるほど。機能的ですね。

蓋のほうは、完成品を置いておくスペース。結構大きなものもあるので、スペースは大きいほうがいいのだとか。

さて、製作風景を見てみましょう。

材料はこちら。厚紙と使い捨てパレット、ホワイトボード、おくすりケース。全部100円ショップで購入。

世界堂で洋紙も購入。画用紙ほどの厚さのものです。

画用紙と洋紙を貼り合わせます。これを「合紙」(ごうし)と呼ぶのだとか。

その合紙で箱を作ります。っていうか、箱から作ってるのか! すごい!!

外側の模様も手作り。武井さんは正弦波と三角波をイメージした模様をマジックで書いてPowerPointで色調整したそう。これをコンビニのプリンタで出力して貼り付けています。このあたりの箱の製作は皆川さん担当ということ。

武井さん「電子工作用のトレイには、電源がついています。USBから5Vを給電しますが、3.3Vも使いたいので、そのためのレギュレータ回路を作ってトレイの中に収めています」

皆川さん「パレットは切断して、トレイの幅に合うように二枚を組んで貼りあわせます」

うーむ、箱から手作りとかなかなかやるなー。このトレイがあれば、作業中でもさっと片付けられる上、部品などの紛失の可能性もかなり低くなりますね。

武井さんが使っている様子です。合理的ですね。自分だけの作業台みたいな感じでいいかも。

ホワイトボードに書き込むことも可能です。

皆川さんのトレイも機能的です。細かい部品を扱うだけに、こういうレイアウトのトレイは役立ちそう。

材料費は2人合計で970円です。

お酒が大好きだったおじいちゃんに捧げるお盆

さて、最後はやまざきさんです。タイトルは「おじいちゃんのお盆」です。

お盆のようですが、中央が光ってますね。やまざきさんらしいといえばらしいですが。

「このお盆は、日本酒の好きだった祖父・藤一郎の仏前に日本酒をお供えするためのものです。コップを乗せてタッチをすると……」

「祖父・藤一郎の御霊がグラスに召喚されます。お盆だけに」

動画もあります。

今回のお題を考えた僕らが言うことじゃありませんが、「ダジャレか!」

要は、コップをライトアップしてくれるお盆ということなんですね。

それでは、制作過程を。

見た目はただの板ですね。中央に何か見えますが。

板の中央には、レーザーカッターで微細な孔をあけています。なかなか細かい作業ですね。

「孔の加工を裏から見たところです。レーザーカッターの彫刻加工で板厚を薄くしてから、孔をあけています。最近、何かに使えないかなと研究中の加工方法です」

今回のポイントとなっているのがこれ。

「最近見つけたタッチセンサーモジュール『TTP223』を使ってます。アキバで買うと1個100円くらいですが、AliExpressなどで買うと1個10円です」

裏側には回路が仕込まれています。制御には前回と同じくDigiSpark互換ボードを使用。お盆本体は、2.5mm厚のMDF材を3枚貼り合わせているとのこと。

タッチセンサーモジュールが内蔵されているので、そこをタッチすれば光るようになっています。光るお盆。いいですね。使われているLEDライトはNeoPixel互換のものということです。

材料費は1000円です。

さあ、次回はアウトドアで活躍するあれですよ!

今回、かなり実用的なお盆がそろいましたね。ぜひみなさんも、参考にして自分だけのお盆をお作りいただければと思います。

そして次回のお題は「アウトドアで使えるイス」です。秋になると、BBQとかハイキングとか紅葉狩りとか、お外で遊ぶ機会も増えてきますよね。そんなときに役立つイスを作っていただきたいと思います。

では、また次回!

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