1カ月1000円工作
アウトドアで使えるイスを1000円で作っちゃおう!
一人1000円以内でものづくりをする「1カ月1000円工作」。最近は涼しくなって、アウトドアに最適なシーズンになってまいりました。
そこで今回は「アウトドアで使えるイス」をテーマにものづくりをしていただきました。
レギュレーションはいつも通り。材料費1000円以内で、テーマに沿ったものを作っていただきます。加工にかかる費用は含みません。
今回のメンバーは以下の3人です。
ムカイさんは座り心地も重視した組み立て式変形イス
さて、トップバッターはムカイさん。取り出したのは、コンパクトな板ですね。どうやらこれを組み立てていくようです。
結構パーツが多いようですが、ムカイさんはサクサク組み立てていきます。
完成! 時間にして約3分。パーツ数の割には意外とスムーズですね。座り心地は?
なかなかよさそう。ムカイさん曰く「座面のカーブは、イームズのイスと同じカーブにしています。座り心地にはこだわりました」とのこと。さすが人間工学を専門にしているだけはあります。
「これだけじゃないんですよ」と言うと、ムカイさんはいったんイスをばらして、再度組み立て始めました。
なんと、テーブルとiPad兼ドリンクスタンドが完成しました! そう、トランスフォームするイスだったんです。
構想を練っているときに、使用する板の数が多いことから、いろいろな形にできるのではと思いついたんだそう。
BBQなどはもちろん、アウトドアで仕事をしたいとき(?)にも便利そうです。
作業工程をちょっと拝見しましょう。
いつものアイデアスケッチですね。この段階でかなり細部まで設計が頭の中で行われているようです。
材料はムカイさんお得意のMDF。600×900mmを2枚使用しています。それをレーザーカッターで切り出していきます。設計図は書かずIllustrator上で描いたそうです。
実際座ってみると、見た目よりも座り心地はいいですよ。これを2つ3つ用意しておくと、アウトドアのときに便利かも。2つはイスにして、ひとつは机にして、みたいな感じで。
材料費は886円でした。
町田さんはフェス向け一脚イスを製作
お次は町田さんです。どんなものを作ってきてくれたのでしょうか。
「今回は、野外フェスで使うことを想定したイスを作ってきました」
野外フェス……。どんなイスなんでしょう。
板についているベルトのわっか部分を足に通して、しっかり固定します。ここは100円ショップで購入したベルトを使用。
金具部分が切り込みより大きくなっているので、ここで固定される仕組み。腰より下くらいに板が固定されますね。
これが使用時の状態です。一脚イスなんですね。
「設計ミスで、座面の板の角度を45度にしたら、お尻が乗らないんですよ(笑)。なので、足を通しているベルト部分で身体を支えています。要は、ベルトが座面になっています」
座ってみると、思いのほか安定しています。ポイントは、装着した状態で移動できること。
「尻尾みたいに着けておけるのがポイントなんです。一脚イスは市販製品でもありますが、使うたびに組み立てたりする必要があります。でもこれは、着けっぱなしにしておいて、いつでも座ることができます。周囲の人の迷惑を考えなければ、ですけど(笑)」
なるほど。まあ見た目はあれですけど、一応着けっぱなしにしておけますよね。ただし、階段を上ることはできても、降りるときはガタンガタンしてたいへんだとか。
製作風景はこちらです。
使用しているのはイレクターパイプ。塩ビ管の金属バージョンのようなもので、安くて強度が高いのが特徴。「1000円工作でいつか使いたかった素敵アイテム」なんだそう。
座面に45度で取り付けているところ。ビスが刺さる部分は長さ確保のために板を2枚重ねにしています。
「100円ショップで買ったベルトを2本通しました。片方のバックルは不要なので外します」
裏側から見た様子。わっかの部分に足を通してぎゅっと締めるんですね。
これ、見た目よりもちゃんと座れるんですよ。地面が滑るところだとやや不安定ですが、砂や土などのところでは、しっかり座れます。
「原宿でパンケーキの列に並んでいるときにどうですかね」とは町田さん。うん、やってみてください!
材料費は930円でした。
サワイさんはフリマで役立つ立ったまま座るイス
最後はサワイさんです。座面があまりないイスですね。高さもあります。
「これは、立ったまま座れるイスです」
言葉的に矛盾しているようにも聞こえますが、使ってみるとわかります。ほぼ立っているときと同じ状態のまま、座っていられるイスなんです。
こちら、畳むとこうなります。で、このまま……、
クルマのトランクにぴったりと収納できます。もちろんサワイさん車専用です。高さもサワイさんに合わせて作られています。
サワイさん曰く「フリマの際、売り子が座っていると印象が悪いんですよ。立ったまま売るのと座って売るのでは、売り上げが全然違う。だから、立ったままの状態で休めるイスを作ったんです」
さすが、フリママスター・サワイ。フリマの神髄を知っているからこそできた作品ですね。
製作過程はこんな感じです。
こちら、プロトタイプ。工作用紙で作っています。
まずはIllustratorで2Dの作図を行います。この時点でかなり具体的ですね。
実はサワイさん、現在3DCGにも挑戦中。今回Fusion 360で3Dモデリングを行いました。よくできてる!
材料です。SPF材にボルトとワッシャー。シンプルです。
カットと穴開け。今回穴開けの際、木材の厚みがあったため結構苦労したようです。
座面裏側のストッパーはスライドソーで加工。部材はオイルステインで渋めの仕上がりにしています。
仮組みの様子。ほぼ完成ですね。荷台にもぴったりサイズでした。
これ、完全にサワイさん専用となっています。自分にぴったりのものを作れるというのも、ものづくりの醍醐味ですよね。
材料費は970円です。
1000円でもイスってできるね
さて、今回3種類のイスができあがりました。このお題を出したとき「1000円でイスってできるのかな。しかもアウトドア特化の……」と思っていたのですが、できるものですね。みなさんのアイデアと工作技術に脱帽です。
ところで、そろそろ1カ月1000円工作第2シーズンもクライマックスを迎えようとしています。次回は、2チーム合同であるものを作っていただく予定。
どんなものができあがるのでしょうか? お楽しみに!!
撮影協力:Makers' Base