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1カ月1000円工作

1000円以内で“未来型風鈴”を作ってみよう!

一人1000円以内でものづくりをする「一カ月1000円工作」。夏真っ盛りな感じになってきましたが、いつも通り1000円工作を楽しみたいと思います。

レギュレーションはいつも通り。材料費1000円以内で、テーマに沿ったものを作っていただきます。加工にかかる費用は含みません。

今回のメンバーは以下になります。

(トップ写真右下、右上)
サラリーマン工作員(
ムカイさんサワイさん
某メーカーのエンジニア2人組。週末はクリエイティブ筋を鍛えるために、Makers' Baseに通いものづくりをしている。

(トップ写真左上)
三谷知靖さん
DMM.make AKIBAで働くテックスタッフ。役に立つモノを作ろうと思ったら役に立たないものができてた系男子。工具のメンテナンスが趣味で、ハードに強く、ソフトに弱い。DAISO、シルク、CAN☆DO等々100円ショップに日々入り浸って材料探しをしている。よく僧侶と間違われますが、普通の人です(たぶん)

(トップ写真左下)
町田美菜穂さん
某芸術系大学大学院を2016年3月に卒業。建築科を卒業後、大学院でデザインを専攻。

 

今回のテーマは“未来型風鈴”です。暑い夏に一服の涼を届けてくれる、風情ある風鈴。これを現代風にアレンジしようということです。

さあ、どんな風鈴が飛び出すのでしょうか?

考え事やストレス解消のお供「卓上風鈴」

トップバッターは、サラリーマン工作員ムカイさんです。和なテイストの作品ですね。

「風鈴の音を聞きながら縁側でボーッとするって、いいですよね。僕は考え事や、頭の整理をするときに、風鈴は相性がいいなと思っているんです。そこで、考え事用の風鈴を作ろうかと思いました」

なるほど。机の上に置いて使う風鈴なんですね。

使い方としては、ボールペンでつついて動かします。そのとき、風鈴に仕込まれた鈴が鳴ります。また、本体と底面に磁石が入っており、わざと反発するように配置しているため、風鈴の動きが不規則になるのがポイントです。

実際に見てみましょう。

おお、なんかランダムな動きが楽しげですね。これが机の上に置いてあったらついついボールペンで突きたくなります。

材料はムカイさんお得意のMDF。これを設計図通りにレーザーカッターで切り出します。

切り出したパーツがこちら。かなり細かいですね。

そのほかの材料がこちら。マグネットに鈴ですね。

風鈴となる丸いパーツのなかに鈴を仕込みます。

それにひもを通します。

「土台部分は、切り出した部品を薄い板、厚い板を交互に重ねました。表面に貼っていたのは、家に転がっていたゴザの切れ端です」

土台の側面は、色が交互になっておりデザイン性もありますね。赤いひもを引っ張ると……。

ボールペン入れになっています。ここに芝生が敷いてあるのは、ムカイさんが芝生を使いたかったからということです。

なかなか完成度の高いプロダクトですね。これがデスクに置いてあったら、一日中ツンツンしてしまいそうです。

材料費は725円でした。

一番でかい風鈴を作ってきました!

お次は三谷さんです。でっかいですね。

「テーマは、一番でかい風鈴を作ろうと思って(笑)」

なるほど。確かにでかい。基本的には、ボウルを二つ使った風鈴ですね。どんな音がするのでしょう?

ガランガランという感じですね。

「実は、これ三つの音階になってるんですよ」

底面は三分割されています。真ちゅう製のナットとぶつかることで音が鳴る仕組みです。

では制作過程を見てみましょう。

材料はこちら。ボウル二つにステンレス用はんだ、ステンレス用フラックス、タコ糸、アルミ製のガス台シートです。

「ボウルは高速切断機で切っています」

「そこにステンレス用のフラックスを盛ってはんだ付けしています。ボウルの厚さを変えることで周波数を変えているので、微妙に音が違うんです」

アルミ製のガス台シートはカットしていますね。これを……。

レーザーカッターで刻印。なかなか立派ですね。

「ボウル、真ちゅう製ナット、アルミ製のガス台シートで、金属でまとめてみました」

実際にこの風鈴をぶら下げたら、ガランガラン音がしてご近所迷惑かもしれません。しかし、もともと風鈴は魔よけの意味を持っていたもの。原点回帰な作品ですね。

材料費は846円です。

風鈴の風を自分の元に届けてくれる

3番手は町田さんです。風鈴に飛行機がくっついていますね……。

「風鈴は窓の外にあるものですよね。部屋の中にいると、風鈴の音は聞こえますが、どのくらい風が吹いているのか感じることができません。そこで、風鈴に吹いている風を手元で感じることができる扇風機を作りました」

なるほど! 風鈴の風を遠隔で自分に届けてくれるグッズなんですね。

100円ショップで買ってきたミニ扇風機を分解しています。スイッチ側のコードを改造しているとのこと。

扇風機の羽根の部分を置く土台としてこちらも100円ショップの飛行機キットを選択しました。

「モーターの固定には飛行機のおもちゃの型枠で捨てる部分から切り出したプレートを付けています」

電池ボックスから出ているリード線を長いものに変更しています。これが風鈴につながっているわけですね。

風鈴の本体の中はこのようになっています。

「中は球体のコイルと、その周りに円状のコイルがあります。風鈴が風を受けて動くと、このコイルが触れ合って電気が通る仕組みになっています。通電すると飛行機側のプロペラが回ります」

外側の風鈴は100円ショップのものですが、中の透明な球体はガチャポンの空容器とのこと。低予算感出てていいですね。

では、実際どうやって動くのか、見てみましょう。

風鈴が鳴ると、飛行機のプロペラが見事に回りました。しかも結構風力あるんですよね。屋外の風を室内で感じることができる、なかなかのアイデアグッズだと思います。

材料費は605円。電池代は別となります。

和と洋を取り入れた透明感のある「雨」をモチーフにした風鈴

最後はサラリーマン工作員サワイさんです。

「日本では風鈴ですが、西洋ではウィンドチャイムという、揺れると音がするものがあります。僕のイメージは、ちょっと涼しい夕暮れ時に、ひと雨きて風鈴がチリンチリンという感じ。そこで、雲と雨をモチーフにしてみました。そして、西洋風なモダンなテイストを取り入れて、透明感のある風鈴を目指しました」

一見すると、風鈴っぽくはないビジュアルですね。でも、繊細で美しい形状です。では、その音を聞いてみましょう。

きれいな音ですねー。ウィンドチャイムっぽいですけど、儚げで風鈴らしさが出ていると思います。

制作過程はどんな感じですか?

材料はヒノキの角棒、アルミ棒、テグス。ペイントは使わなかったようです。

ヒノキの棒を切っています。

まずは50mmのキューブを作成。そしてサイズ違いを3つほど作成します。

アルミ棒は3種類の長さに切断して、穴を開けてテグスを通しています。

「今回は完全手工芸です(笑)。スポットライトを当てると、影ができておしゃれになるんですよ」

木のぬくもり、アルミ棒の奏でる音、そして見た目に涼しげなデザイン。風鈴とウィンドチャイムのいいところを抽出して、モダンに仕上げた新しい風鈴ですね。

材料費は800円ほどです。

次回のテーマは「お盆」。お盆だからお盆!

今回の「未来型風鈴」。いかがでしたでしょうか。それぞれ個性的な風鈴でしたね。1000円でこれだけのものが作れます。みなさんもチャレンジしてみてはいかが?

さて、次回のテーマは

「お盆」

です。8月はお盆の時期。そこでこれまでにない新しいお盆(トレイ)を作っていただきます。さて、どんなお盆が出来上がってくるのでしょうか。今から楽しみですね!

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