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1カ月1000円工作

1000円以内で21世紀のてるてる坊主を作ってみよう!

一人1000円以内でものづくりをする「1カ月1000円工作」。今月も粛々と、1000円でものづくりをしていきたいと思います。

レギュレーションはいつも通り。材料費1000円以内で、テーマに沿ったものを作っていただきます。加工にかかる費用は含みません。

今回のメンバーはこちら!

やまざきはるきさん

デジタル広告会社「スパイスボックス」に所属するテクノロジスト。ちょっと先の未来のコミュニケーションについて日々プロトタイピングしている。光る工作が得意。

皆川めぐみさん

ハンドメイドとデジタル・ファブリケーションの境目で、「無いならつくる」を口癖に活動するデザイナー。デザインの学校で先生もしている。

武井祐介さん

メーカー勤務の機械設計エンジニア。週末はTAK-TEKの屋号で、さまざまなジャンルの人と一緒にものづくりを行っている。

ひとしんしさん

世の中を台無しにするようなアイデアとクリエーションを創出するひと。会社員をしながらinspireをnextしつづけている。

 

そして今回のテーマは「21世紀のてるてる坊主」です。古くから、晴天を願うときに作り、軒下につるす、あれです。さあ、てるてる坊主をどうリメイクするのでしょうか?

高湿度になると光って動き出すてるてる坊主

トップバッターはやまざきさんです。さて、てるてる坊主ということですが……。

こ、これがてるてる坊主……? いったいどんな感じになってるんでしょうか。

「これは湿度を感知して、光と振動でお知らせしてくれるてるてる坊主です。知ってます? 昔はてるてる坊主って人型をしていたらしいんですよ」

どういう効果があるんですか?

「湿度計が入っているので、雨が降って湿度が70%以上になると、LEDがフルカラーで点灯して、振動でブルブルって動いてお知らせしてくれます」

やまざきさんによると、その振動により湿気を蹴散らしてくれるということなんですが、多分それじゃあ湿度は減らないと思いますが……(笑)。

「Arduino互換マイコンのDigisparkを使いました。これが今回の心臓部です」

「湿度に反応するてるてる坊主を作ろうと思いまして、秋葉原で温度・湿度センサーDHT11を購入しました」

以前目覚まし時計で使った、ご存じ100円ショップのミルクフォーマーです」

このほか、ピンポン玉、プラカップ、ワンタッチボトルなどを使っているようです。

Digisparkには、DHT11を入力デバイスとして接続。そして、ミルクフォーマーのモーター、およびLEDライトを出力デバイスとして接続しています。

配線部分はこのようになっています。電源は9V乾電池です。

頭の部分はピンポン玉ですね。これがブルブル震えて湿度を追っ払うということらしいのですが。

それでは、実際に動いているところをご覧ください。

動画では湿度を上げるために息をふきかけていますが、実際には部屋の湿度でLEDが光り、本体が動きます。なんか部品が飛んでますけど(笑)。

部屋の湿度が70%以上になったら、これが突然光って動き出すって、ちょっとびっくりするかもしれませんね。でも、雨が降ってきたことがわかりやすくていいかもしれません。

材料費は980円です。

ぐるぐる回るエコなてるてる坊主

2番手はひとしんしさんです。どんなてるてる坊主ですか?

光って回るてるてる坊主です。てるてる坊主って基本的に使い捨てじゃないですか。でもこれなら365日ずっと使えます。エコなプロダクトです」

実際にどうやって使うのか、見てみましょう。

半分の形のてるてる坊主の中心にライトがあって、それが光って回るというわけですね。ちょっと幻想的なてるてる坊主です。

さて、どのように作られたのでしょうか?

こちらが材料。ピンポン玉に100円ショップのキャンドルライト、そして回転するフィギュア台。

まずは普通にてるてる坊主を作ったようです。頭の部分にはピンポン玉を使っているとのこと。形をきれいにするためです。

それを3Dスキャナーで読み込んでいます。手間がかかっていますね。

「スキャンしたデータです。紙のスキャンは結構たいへんですね」

「データを元にそのまま出してもおもしろくないので、半身だけにしてみました。内側はかなり複雑な形状になっているので、ペン型のモデリングツールで1時間以上かけて穴埋め作業などをしています」

最後に3Dプリンターで出力。このなかにキャンドルライトを入れて光らせて、回転台に載せて完成です。

「内側の凸凹の部分に光を当てると、陰影ができて立体的に見えるかなと思ったんですけど、意外と首のところがキュッってしまっているので、頭のほうまでうまく光がいかなかったですね(笑)」

いやいや、でもなかなかおもしろいてるてる坊主じゃないでしょうか。窓側に置いておけば、ずっとぐるぐる回ってくれます。

材料費は976円です。

雨を振動で知らせてくれる雨センサーてるてる坊主

3番手は、この日所用で欠席の武井祐介さんです。どうやらてるてる坊主型の雨センサーということ。どんなものなのでしょうか。

見た目は普通のてるてる坊主ですが……。何やらコードがつながっていますね。

プラスチックの容器がつながっています。これを開けてみると……。

何やら配線があります。実際にどうやって使うのか、説明しましょう。動画でご覧ください。

ちょっとわかりづらいのですが、てるてる坊主の頭に水をかけております。すると、容器がすごい勢いで振動するというもの。正式な使い方としては、ベランダなどにこれを置いておき、雨が降って湿度が高くなると容器が振動するという、雨アラームのようなものです。

前回、お風呂タイマーも作った武井さん。生活必需品が好きなのでしょうか。

さて、どういう仕組みなのか解説しましょう。

こちらが材料。金属(銅)メッシュ、発泡スチロール球、電子部品一式、モーター、電池+ケース、プラスチック容器です。

まずは発泡スチロール球に金属メッシュをかぶせます。そこに銅線をはんだ付けして電気が通るようになっています。

そしてもうひとつ、金属メッシュに銅線をはんだ付けしたものを用意。これがてるてる坊主の頭になります。

二つの金属メッシュを触れさせると電気が通り、LEDが点灯しモーターが回るという回路を自作しています。ふむふむ。モーターは加工してあり、電気が通ると震えるようになっています。

でも、これじゃあ雨センサーになりませんね。そこでこういう仕組みを採用しています。

発泡スチロール球に金属メッシュを貼り付けたほうに、ティッシュをかぶせます。そして、そしてその外側にもう一方の金属メッシュをかぶせておきます。

この状態では断線されており、モーターは振動しません。しかし、ティッシュが水気を含むと、通電状態になります。そう、これをベランダにつるしておいて雨が降ると、中のティッシュが湿気を含み始め、通電し、容器がものすごい勢いで振動して、雨をお知らせしてくれるのです!

流れる電流は微弱ですが、自作回路で微弱電流もちゃんと感知できるようになっています。

実験では、水を直接かけていましたが、雨が降れば同じことが起きるのです。なかなか実用的ですね。

ひとつ弱点があるとすれば、一度雨にぬれた場合は、ティッシュを交換しなければならないというあたりでしょうか。

ちょっと物悲しいですが(笑)。でもきちんと働いてくれるてるてる坊主です!

材料費は980円です。

がんばったてるてる坊主が一休みする小さなおうち

最後は皆川さんです。何やらかわいいおうちがでてきましたよ?

それにお酒やオレンジジュース……。なんでしょう?

「てるてる坊主に特に仕掛けはありません」

ではいったい……。

「てるてる坊主って、あまり作りませんよね。使い終わった後にどうするかという問題があるからです。そのままゴミ箱に捨てるのも忍びないし、家の庭でお焚きあげするのも難しい。そこで、てるてる坊主の家を造ってあげようと思いました」

なるほど。この鈴は?

「てるてる坊主の歌詞に、晴れさせてくれたら金の鈴をつけてお酒を飲ませてあげるというフレーズがあるんです。それを再現してみました」

家の中に入れて、小さなグラスにお酒やジュースを注いであげて、お焚きあげの日まで過ごさせてあげる。うーん、とてもメルヘンですね。

それでは制作過程を。

材料は画用紙2枚、スイーツのデコレーション、鈴、チェーン。それにお酒とジュースです。

スイーツのデコレーション部分を砕いて外し、下のグラスだけ使います。

画用紙で造る家は、「Template maker」というサイトで展開図を作成。

「作りたい箱のデザインを選んで、自分の好きなサイズを入力すると、展開図がPDFでダウンロードできます。今回は画用紙に印刷しましたが、木材にプリントしてレーザーカッターで切ったりといったことも可能です」

こちらが組み立てる前の状態。これなら小さなお子さんでもできますね。屋根の上の飾りは、画用紙を穴あけパンチでくり抜いたものを使用しています。

「てるてる坊主は、遠足とか運動会とか、大事なときに作りますよね。晴れたら、てるてる坊主をこの家に入れてあげて、思い出話をしながら一緒にお酒やジュースを飲んだりすれば、楽しいんじゃないかなーと思って」

がんばって晴天にしてくれたてるてる坊主をねぎらう家。なかなかメルヘンですねー。

ちなみに、材料費は550円+ドリンク代です。

次回のテーマは「風鈴」だ!

今回の1カ月1000円工作はここまで! 「てるてる坊主」というお題にどんなものが出てくるかドキドキでしたが、バラエティに富んだ作品ばかりでしたね。

さて、次回はもうひとつのチームが登場します。お題は

「風鈴」

です。夏の暑さを和らげる、風情ある風鈴。これを1000円でどれだけ新しいものにできるのか、メンバーの想像を超えた発想に期待しましょう!

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