Julie Wataiと電子工作チャレンジ!
世界に一つだけのくま型トイデジタルカメラを作ろう
デジタルフォトグラファーとして活躍するJulie Wataiさんと、いろいろな電子工作に楽しくチャレンジしてみよう! という連載企画のスタートです。第1回目はオリジナルのトイデジを制作。記事では制作の工程をレポートします。
電子工作やガジェット好きのJulieさんと何かいっしょに作ろう! というフワッとしたアイデアからスタートした今回の企画。せっかくJulieさんとやるわけだし、まずはデジカメなんてどうだろう? ということで第1回はデジカメを手作りしてみることにしました。(撮影:加藤甫)
とはいっても、デジカメなんてハイテクなもの自分で作れるの~? って思いますが、実は意外と作れるものなんですよ。しかも結構簡単に。確かに完全な自作や、超ハイスペックなデジカメを作るのは難しいですが、「Arduino」という初心者でも扱えるマイコンと、「Arducam」というパーツを使えば、ハードとプログラムの両面にオリジナル要素を加えたカスタムデジカメを容易に制作できます。
今回の制作コンセプトは、「かわいいデジカメ」。どうせ作るなら、いわゆる普通のデジカメにはしたくないじゃないですか。首からぶら下げたときにかわいくて、女の子が持つと映えるポップなデザイン(しかも今まで見たことないような!)にしよう、という方針のもと、デザインと制作はJulieさん、設計は筆者という役割分担でスタートしました。
Julie Watai
24歳で単身イタリアに渡り、イタリアの美術書籍出版社DRAGOからフォトグラファーとして「SAMURAI GIRL」(2006年)を出版。ニューヨークのMOMAにも置かれるなど世界的に販売されて累計120万部を売り上げる。
帰国後も、カラフルポップなCG加工が高評価を受け、フォトグラファーとしての活動をしながら、「天野あい」名義でタレントとしても活動を始める。mishmash*JulieWataiとしての音楽活動や、iPhoneアプリの開発に携わるなど活動は多岐にわたる。アキバ系クリエイターとしてオタク文化への功績は評価が高い。http://JulieWatai.com/
Arducamでデジカメの基礎を作る
まず初めにデジカメの基礎になる部分を制作します。今回は「Arduino」に取り付けるだけでデジカメの基本的な回路が完成してしまう「Arducam」というシールドを使用しました。シールドとは、Arduinoの機能を簡単に拡張できる便利な増設ボードのことです。
ArduinoとArducamは、向きを合わせてハメるだけ。さらに、Arducamにレンズモジュールを取り付け、microSDカードを挿入します。ここまではんだ付け、一切不要。一瞬です。
バッテリー部分の制作
前項の段階でプログラムをインストールすれば、もう撮影までできてしまいます。Arducam便利。でも、この状態ではバッテリーが搭載されていないため、持ち歩いて撮影するためには自分でバッテリーを取り付ける必要があります。
今回は、リチウムイオン電池とその充電モジュール、バッテリーレベルインジケーターのキットをスイッチサイエンスで購入しました。
これらをはんだ付けし、Arduinoと接続します。
ちなみに使用した道具はHAKKOのはんだごて。はんだごて界のフェラーリと呼ばれるほどの高性能マシン。
まずバッテリーレベルインジケーターキットを説明書どおりにはんだ付けしていきます。電源電圧が低下したことをLEDの輝きで表示してくれるキットです。
と、ここでうっかり配線を間違ってしまったJulieさん。あらら……。
すると、たまたま撮影を見学してらしたHAKKOのスタッフさんたちがサッとフォローに入ってくださったんですが……すげえ! プロの手さばきだ! 一瞬で修正完了。
これでバッテリーレベルインジケーターが完成です。
次に充電モジュールとArduinoを接続します。
Arduinoの5Vピンと充電モジュールを直接つなげる荒業。この設計は筆者が勘で行ったもののため、結構無茶なことをJulieさんに要求しています。どうやって取り付けようかな……とJulieさんが困っていると、見かねたHAKKOスタッフの方がフォローに入ってくださって……。
これでデジカメの基礎部分はほとんど完成! ここまでのはんだ付け作業の4割ぐらいはHAKKOのスタッフさんがしてくださいました……(笑)。
と、ここで気がついたんですが、よく考えたらArduinoとバッテリーの間に電源スイッチを設けるのを忘れていました……。このままでは、電池をつなげたらずっと電源入りっぱなし(笑)。
また、シャッターボタンについてもArducamに初めからついているものだと筐体にハメ込んだ際に押せないので、電源スイッチとシャッターボタンを後日増設することにしました。