GW特別企画
【動画あり】子どもの日なので高度30000mまで鯉のぼりを揚げてみた
90分で機体は成層圏へ
打ち上げといっても、街中で勝手に上げていいわけではない。
航空機を安全に航行させるための法律(航空法)に基づき、空港に打ち上げ許可を申請する。空港近辺や市街地を避け、障害物の心配のない場所から場所へ飛ばすのが原則だ。
ということで、朝5時に札幌を出発し、道東自動車道で東へ向かう。
2時間ほど移動して、事前に岩谷さんが申請した打ち上げポイントである占冠(しむかっぷ)に到着したのは朝の8時。
上昇するにしたがって風船は膨張する。成層圏の気圧とゴム風船の膜面張力を計算し、目標高度約30000mあたりで破裂するようヘリウムガスの量を調節する。
撮影用のGoProと探索用のGPS発信機を起動し、ブザーを鳴らすといやが上にも、ヘリウム風船以上に期待が膨らむ。
しかし離れたところから見ると、正式な手続きを踏み許可を得てやっているとはいえ、どうみても怪しい。
鯉のぼりをくくり付けて、いよいよカウントダウンだ。
「3、2、1!」
あっという間に鯉のぼりは見えなくなった……。
撤収後、落下予想ポイントである帯広の西に位置する芽室(めむろ)に車で向かう。
打ち上げから2時間ほど経ったあたりで鯉のぼりに仕込んだGPS発信機から位置情報が届く。
岩谷さんは打ち上げてから見つかるまでの時間が一番ドキドキするそうで、しきりに「ちゃんと着いてるといいなぁ……。山の中に落ちてたらどうしよう」と心配そうにつぶやいていて、私たちも次第に心配になってきた。
高速道路を降りる手前で、ようやく鯉のぼりが着地したらしく、場所が特定できた。芽室の田園地帯に落下したらしい。
芽室の中心から離れ、左右に田畑が広がる道を走りながら、GPS発信機が示す落下ポイントを目指す。
落下ポイントに着くとWindows XPの壁紙みたいな田園が広がっていた。位置情報とブザー音を頼りに機体を探す。
「あ! あった!」畑の中に無事着地していた! 残念ながら途中で小さな鯉のぼりは失われてしまったようだ。
さっそくGoProを取り出して、映像が撮れているか確認する。
「撮れてる!」全員に安どの空気が生まれる。
北海道の雄大な自然が広がる感動的な光景にうっとりしていたら、風船破裂後は激しく回転しながら落下、鯉のぼりも必死に耐えるがあえなく3匹中2匹が途中で吹き飛んでしまう。
その一部始終を5分に短縮したものと、ほぼノーカット版の動画をアップしてみた。
ちなみに運転も買って出ていただいたカメラマンの小牧さんによると、この日の総移動距離は500km。直線距離で東京から名古屋まで往復したことになる。まさかfabcrossでこんなにヘトヘトになる取材があるとは思わなかったが、岩谷さんは過去に1000km移動した事もあったらしい……。
お疲れ様でした。