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小さな活版印刷機の版を自作するためのテンプレートを作ったので使ってほしい

印刷は奥が深い。私達が普段プリンターを使って文字や図などを印刷する技術は、版を使用しないオンデマンド印刷と呼ばれるものであるが、逆に版を作成して印刷するものをオフセット印刷という。その中でも活版印刷という印刷方法を手軽に体験できるキットが話題になっている。2017年12月15日に発売された「大人の科学マガジン 小さな活版印刷機」(発行:学研プラス 3500円)だ。

活版印刷とは

活版印刷(かっぱんいんさつ)は、凸版印刷の一種で、金属や木に文字を彫り込み判子状にしたもの(活字)を並べて文章にした板(活版、組版)を作り、それに塗料を塗って印刷すること。また、その印刷物。鉛版/線画凸版/樹脂版などの印刷も含めていう。活版刷りともいう。(Wikipediaより)

そして今回はfabcrossらしく、3Dプリンターやレーザーカッターを使ってこの「小さな活版印刷機」に用いる、オリジナルの活字と版を作る方法を紹介しながらどこまで使い倒せるか実験する。発売当初は品薄状態だった「小さな活版印刷機」だが、増刷を経て見かけるようになってきた。実際にレーザーカッターや3Dプリンターで版を作るときのコツなども紹介していくので、ぜひオリジナルの版を作ってみてほしい。

まずは編集部へ相談しにいく

まずは大人の科学マガジンの編集長を務める吉野敏弘さんにお話を伺った。

左から初期プロトタイプ、最終プロトタイプ、完成品。 左から初期プロトタイプ、最終プロトタイプ、完成品。

「大人の科学の編集部では以前から印刷機を作るという企画は挙がっていた。しかし、印刷といっても活版だけでなくシルクスクリーン印刷、樹脂版印刷などその種類は多く、どの印刷機を開発するか検討している状況だった」(吉野さん)

そんな中、『活版印刷三日月堂』(著:ほしおさなえ 発行:ポプラ社)という小説が編集部の中で話題になった。活版印刷に興味を持った吉野さんは関連するイベントなどにも足を運んだという。すると、意外にも若い女性の参加者が多かった。自分で文字をひとつずつ選んで印刷するアナログ感覚や、独特な文字の「にじみ」「かすれ」がかわいいということで、若い世代に活版印刷が見直されていたのだ。「小さな活版印刷機」は販売前からSNSを中心に話題を呼び、発売当初は入手困難になるほどの人気となった。

右が本物の活字、左は100円ショップに売っているスタンプ。100円ショップのスタンプでも十分に印刷できたそうだ。 右が本物の活字、左は100円ショップに売っているスタンプ。100円ショップのスタンプでも十分に印刷できたそうだ。

大人の科学編集部でやりきれなかった印刷はないかと尋ねたところ、2つの案が出てきた。

  • 漢字をぜひやってほしい(付属のひらがな、英数では物足りないという声が多い)
  • 3Dプリントした活字は見たことない!(どこまで再現できるのか見てみたい)

「小さな活版印刷機」誌面には樹脂版や消しゴムはんこなど、絵を印刷する方法は紹介されている。吉野さんからは、もっと文字を見たいとのオーダーをいただいた。さらに、この企画に合わせてどうしても筆者がやりたかった写真の印刷も試すことにした。

まずは寸法を測る

オリジナルの活字を作るためには、活字本体と活字をセットする活字台の寸法を測る必要がある。ノギスや定規で測ってAdobe Illustratorで図面を起こしていく。本稿の末尾にデータを添付するが、あくまで筆者の実測値によるデータのため利用の際は若干の誤差等に注意してほしい。

活字の寸法。付属の活字台に自作の版を貼る場合は高さの合計が6mmにするとよい。 活字の寸法。付属の活字台に自作の版を貼る場合は高さの合計が6mmにするとよい。
活字台の寸法。台ごと作る際に参考にしてほしい。 活字台の寸法。台ごと作る際に参考にしてほしい。

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