Dr.片山の100均ロボット研究室
100均工作の限界に挑む! 高さ50cm超の巨大ロボを作ってみた
こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、低予算でロボットを作る研究を行っています。
今回は、限界にチャレンジしました。
単三形乾電池2本で動く100円ショップの毛玉取り器を使って、どれくらい大きなロボットを動かせるのか。常日頃抱いていた疑問を解消するために、私がイチ押しの「持ち上げて下ろすと進む機構」を使った、高さ50cm超えの組み立て式6脚歩行ロボに挑みました。
ちょっと大きな組み立て式6脚歩行ロボの製作過程
まずは材料からご紹介。
- 毛玉取り器(中の刃は取り外す) 1個
- 竹の箸 100本くらい
- ストロー 10本くらい
- スムージーストロー 2本
- 厚紙 適量
- タイルマット 1枚
- 輪ゴム 4本
いつものざっとした設計図です。
まずは毛玉取り器を載せるやぐらを竹の箸で作ります。
コンパスカッターを使って、厚紙とタイルマットを円形に切り出し、プーリーを4個作ります。
プーリーに輪ゴムを掛けてやぐらに取り付けます。軸受けにはいつも使っているストローではなく、より径の大きなスムージーストローを使います。これにより、軸の回転がよくなり、輪ゴムの交換が簡単になります。
さらに、やぐらに竹の箸やプーリーを取り付け、ロボットの中央部分を作ります。この部分を揺動させると中央にある脚が上下する構造です。そして毛玉取り器を取り付けます。
竹の箸とストローで外枠を作ります。
竹の箸で脚を6本作ります。
つま先は不等辺の三角すい状にするため、専用の治具を使って作ります。
つま先を取り付けた脚を6本作ります。
胴体に脚を取り付け、抜けないようにかぎ爪で引っかけます。
すべての脚を胴体に取り付けて完成です。
組み立て式にしたことで重量増加。さらなる巨大化&軽量化を目指す
今回作ったロボットは、高さ52cm、幅40cm、奥行き35cm。毛玉取り器1個を動力とするロボットとしては大きなサイズです。
このロボットは組み立て式となっていて、10分ほどで組み立てや分解が可能です。上の画像は、分解して段ボール箱に収めた様子です。また、動画は分解の様子をを4倍速で逆再生したものです(つまり組み立てている動画です)。
歩く機構には、以前「風に向かってちょっと進む6脚歩行ロボ」で採用した、「持ち上げて下ろすと進む機構」を使っています。
100円ショップの素材で大きなロボットを作ろうとすると、高さが40cmを超えたあたりから強度と重さのバランスが難しくなります。今回は竹の箸を大量に使うことで強度を上げましたが、その分かなり重くなってしまいました。
プーリーを組み合わせることで、なんとか毛玉取り器1個で動かすことができましたが、その分動きがスローになっています。比較のために、軽さに重点を置いたロボットも作ってみましたが、そちらは動きがかなりグニャグニャになりました。
これはこれで面白いのですが、ちょっと頼りない印象です。
持ち運びしやすいよう組み立て式にしたため、構造が複雑になったことも重くなった要因です。
自分へのチャレンジとして作ったこのロボット、持ち上げて下ろすだけで前進する特殊な機構を使いました。脚は受動的に動くので、動力を脚に伝える長いシャフトが不要というメリットがあります。一方で、バランス調整がシビアになり、動きも少し不安定になっています。
組み立てや分解のシステムは、かぎ爪で引っかける仕組みにしたことで簡単に実現できましたが、パーツが増えたために重量が増えてしまいました。この点はさらなる工夫が必要です。
大きなロボットの作成は、それぞれのパーツのサイズを大きくする以上の課題が多くありますが、研究のしがいがあるとも言えます。これからも巨大ロボットの製作を突き詰めていきたいと思います。
第23回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!
企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀