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Dr.片山の100均ロボット研究室

逆風だってなんのその、風に向かってちょっと進む6脚歩行ロボ

こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、日々低予算でロボットを作っています。

私はオランダのキネティックアーティスト、テオ・ヤンセンが作るストランドビーストが好きです。以前その機構を真似て多脚ロボットを作ったことがあります。

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広い海岸で風を受けながら歩く巨大ロボットは、憧れです。

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その夢を少しでもかなえるべく、風に向かって歩くロボットを作りました。ほんのちょっとですけど……。

風に向かってちょっと進む6脚歩行ロボの製作過程

使用した材料は以下の通りです。

  • 竹串 18本くらい
  • ストロー 1本
  • ミニストロー 3〜4本
  • コピー用紙 1枚

今回は材料がとてもシンプルです。製作過程はこちらです。

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竹串とストローをグルーガンで接着して脚を6本作ります。

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竹串とミニストローで胴体を作り、そこに脚を取り付けます。

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脚をすべて取り付けるとこのような感じになります。

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次に竹串で風車の骨組みを作ります。とりあえず4枚羽根で作ってみました。

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胴体後部に風車を取り付けるための竹串を接着します。

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風車を取り付け、軸にクランクを作っていきます。

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風車が回転すると中央の脚が揺動運動をするように、てこクランク機構を作ります。

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コピー用紙を風車に貼り付け、斜め上あたりから狙いをつけて息を吹きかけると、なんとか歩き出しました。しかし、正面から風を送っても動きません。

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風車の羽根を大きくしつつ、枚数も6枚に増やして完成です。

試行錯誤で動くようになったけど……

今回の機構ですが、以下のような構造になっています。

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1.風車が回転すると、中央の列の脚が上下に揺動します(てこクランク機構)。

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2.ロボットを地面に置いた状態では、中央の列の脚が上下に動くことにより、6本の脚が交互に3本ずつ持ち上がります。

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3.ロボットを持ち上げると足先が脚の垂直部分と水平部分との接点を支点として前に移動し、下ろすと足先を支点として胴体が前に移動します(図補1、持ち上げて下ろすと前に進む機構)。

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4.6本の脚が交互に3本ずつ持ち上がる動作と、脚を持ち上げて下ろすと前に進む動作が組み合わさって繰り返されロボットが前進します。

この機構では、風車の羽根の形や曲げ具合が歩き方に大きく影響するようで、試行錯誤の末になんとか風に向かってちょっと進む様子を撮影できました。

風の力を利用して、しかも風に向かって進む多脚ロボ。この点では巨匠テオ・ヤンセンを超えたかもしれません。ただし、風力とのバランス次第でじわじわ後退してしまうことも……。

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ちなみに追い風だと脚を滑らせながら進みます。

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今回使った「持ち上げて下ろすと前に進む機構」ですが、密かに新発明だと思っているのですが、いかがでしょう? 情報お待ちしております。

この機構は、脚の動きと動力が直接つながっていないため、さまざまな素材やサイズに応用可能です。この研究室でおなじみの100円ショップの毛玉取り器や「M5StickC」というマイコンモジュールを使っていくつか作ってみたので、参考までにご紹介します。

●100円ショップの毛玉取り器を使ったキモカワ系多脚ロボット


●M5StickC、サーボモーター1個、100均の竹のおはし10本、ストロー1本で作ったすごーくシンプルな4脚歩行ロボット


●手のひらサイズの4脚歩行ロボット


●高さ75cmの6脚歩行ロボット

 

今後は、この機構を使って人が乗って操縦できるロボットが作りたいと思っています。ただし、アイデアはできているのですが、100円ショップの素材だけでは難しいようです。いいアイデアがあれば教えてください。

第18回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!


企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀

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