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部品自作 超入門講座

回路やソフトだけじゃ物足りない 自作部品でエレ・メカ工作「基礎の基礎」【1】

最近では、パートワークマガジンや組み立てキットを使って“動くもの”を自作する環境がいろいろ用意されています。また、個人が3D CADを使えるようになり、個人向けの小型工作機械の種類も増えて、個人の趣味レベルで作れるものの質がどんどん上がっています。

こうした中で、電子回路やソフトウェア製作の経験者がメカにも興味を持ち、自分だけのハードウェアを作って動かしてみたい気持ちになるのも自然かもしれません。この記事は、そんな“エレ・メカ工作”を始めてみたい人の「部品自作 超入門講座」です。とにかく易しく書いていきますのでよろしくお願いいたします。

今回のテーマ:メカ部品はどう作られているのか。部品を買うか作るかの境目はなにか。

第1章:道具や機械は、どんな要素で構成されているのか

ここでお話しする“道具や機械”とは、人力や電力など、なんらかの動力によって仕事をする仕組みを持った、部品の集合体のことです。

例えば、画像の「鉛筆削り」。誰もが一度は見たことがある動くものだと思いますが、これは、向かって左側の白い部品を引き出して鉛筆を掴んでおいて、右側のハンドルを回すことで内部の刃が鉛筆の周りを回転して、芯を削って尖らせる仕組みですね。

鉛筆を掴んでいる左側の部品は、ばねの戻る力を受けながら、鉛筆が削られていくにつれて徐々に右へ移動していきます。

普段の生活では「ここを引くとスライドして、手を離すと戻る」とか「ここを押せば回転する」という単純な使い方でなじんでいる道具も、よく観察すればその複雑な仕組みになるほどと思わされますね。

鉛筆削りが手動なら動力源は人の手、電動なら電気が動力源となり、人が楽になります。電動にすると、センサー類とモーターを制御する回路を追加することで「芯の硬さを自動で検出して、削り加減を自動で変えられる」といった機能を付けられます。このように、道具や機械は「もっと便利に。もっと楽に」という欲求によって進化してきたといえます。

ここで、機械を人間に置き換えて構造を分かりやすくしてみます。まず動作を制御する回路基板とプログラムをセットにして「頭脳」としてみましょう。センサー類は目や耳と同じ「感覚器官」ということになります。動作の要である「筋肉」に相当するのは、駆動機器であるモーターということになります。

「骨格」に相当するのは筐体とフレームで、これは目的に合わせて計算された強度や形状でできています。例えるなら、同じスポーツ選手でも、お相撲さんと野球選手とでは体型が全く異なるのと似たような理屈でしょうか。エネルギー源は、ACアダプターによる給電やバッテリーです。これを人間に置き換えると、「食事」と摂取した栄養を蓄える「肝臓」に相当します。

このように、構成する要素の違いだけで、人間も機械も似たようなものなんだな……ということが大体分かればよいのです。

第2章:市販部品だけで“機構の基礎”を作ってみた

最近ではどのホームセンターもDIYコーナーが充実していて、手に入る材料や部品の種類も増えてきました。つい先日こんなものを買ってみました。このありきたりな部品を使ってちょっとした機構の基礎を作ってみます。複雑な動きをするメカも、簡単な機構の組み合わせでできていることが分かると思います。

まず、「ボルト」と「ナット」です。

ナットの平らな面に、鳥の人形を接着してみました。ナットはそのまま指先で軽く固定した状態で、ボルトの頭を反時計まわりに回し続けてみます。

すると人形はボルトの頭から遠ざかっていきます。ここでボルトを時計まわりに回し続ければ、人形はボルトの頭に向かって近づいてきます。メカの中ではこのボルトとナットの関係を原理にして、「送りねじ」という機構にして使っているのです。

次に黒い穴あきプレートと小ねじを組み合わせてみます。

4枚のプレートを並べてひし形を作り、小ねじで緩く止めます。ひし形の下に2枚のプレートを縦に並べて、こちらは小ねじでやや固めに固定します。

下の2枚のプレートを中央に寄せると、ひし形が縦長に変形します。左右に開くとひし形は元の形に戻ります。これは、運動の方向を変える「リンク機構」という仕組みのひとつです。知られているものでは、電車のパンタグラフや、傘、玩具のマジックハンドがいい例です。ちなみに、この黒いプレートは、安く大量に作るために金型を使ったプレス加工(打ち抜き)で作られています。

金型といえば、こんなゴムやプラスチックの部品も、金型を使った「成型」で作られています。店頭で見かけた部品を観察してみると加工方法を推察することができますね。

これは金型で作ったものではありませんね。旋盤加工で作られた部品です。

よく見てみると、どれも円周方向にシマシマが見えます。これが「旋盤」という機械で削った痕跡です。

旋盤加工は、高速で回転させた棒状の材料にカッターを当てて削るので、出来上がった品物にこうしたシマシマが残るのが特徴です。

加工方法を知ることは、ものづくりの知識を持つことに直結するほか、「自作できるか、できないか」の判断材料にもなります。ぜひいろいろな部品を手にとって観察しながら、動くもののイメージを膨らませてください。

第3章:買ったほうがいい部品と作るべき部品を区別する

「自作できるか、できないか」の判断をするときに、第一に考えたいのはコストです。コストとは、お金のことだけでなくそれを入手するのにかかる手間と時間も含みます。これをふまえて、市販品を使うか自作するかの見極めかたを考えてみます。

例えばこんな部品。テーブルや台車の底面に付いていて、床面をなめらかに移動するために使われていますね。 例えばこんな部品。テーブルや台車の底面に付いていて、床面をなめらかに移動するために使われていますね。

こちらは戸車です。アルミサッシがスムーズに開け閉めできるのは、サッシの中にこれが仕込まれているからです。

見るからに複雑なこれらの部品を自作しようとは、そうそう思わないですよね。こういう「明らかに自作できない」部品は「買ったほうがいい部品」と認識しておきます。そういう観点では、モーターやギヤなども「買ったほうがいい部品」ということになります。

こちらの部品は通称「ノブ」と呼ばれるものです。通常のネジと違って締めたり緩めたりを繰り返したい用途に向いています。自作できないことはありませんが、買ったほうがずっと安上がりな部品です。

次に材料を見てみます。ホームセンターには、いろんな材料がいろんな形状で売られていますが、この材料は「モール材」と呼ばれ、平板棒のほか、コの字型をした「アルミチャンネル」やL字型をした「アルミアングル」などの名称で売られています。形状を生かして、レールとして使ったり、補強部品にしたりします。モール材は必要に応じて切断して使います。金属の切断は、専用のカッターがついた設備がないと難しいですから、ホームセンターのDIYコーナーで設備を借りて切断するとよいです。予めどの材料を何ミリで何本用意するかが分かっていれば、購入後に切断して持ち帰ることができます。

こちらはプラスチックのモール材です。用途はやはり形状を活かしてレールや隙間カバーなどに使うことが多いです。金属と違って大きめのカッターやノコギリを使って、比較的簡単に切断することができます。

こちらはプレス加工で作られた各種金具です。簡単なリンク機構の説明で用いた黒いプレートも、この売り場で手に入れたものです。バリエーションが豊富なので、目的に合ったものが見つかることもありますが、ちょうどいいものが手に入らない場合は、「自作」となります。


部品を自作するか購入するかの境目は、「市販品で用がちゃんと足りるかどうか」です。そして自作する場合でも、いかにコストを抑えて作るか考えましょう。

次回は、実際に部品を自作する主な方法とその使い分けのポイントについてお話します。

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