部品自作 超入門講座
回路やソフトだけじゃ物足りない 自作部品でエレ・メカ工作「基礎の基礎」【2】
普段は電子回路を作ったりソフトウェアを書いたりしているけど、メカにも興味が出てきて、自分だけのハードウェアを作って動かしてみたい。そんな“エレ・メカ工作”を始めてみたい人の「部品自作 超入門講座」の第2回です。
今回のテーマ:メカ部品の主な自作方法とその使い分けについて
第1章:切削にする? 3Dプリントにする? 使い分けのポイント
現在、デジタルDIYの主力ツールといえるのが、3DプリンターとCNCフライス(ミリングマシン)です。これらを使ったワークショップも盛んに行われていて、それがきっかけとなって、工作や手芸のひとつの手段として、ファブスペースや自宅でのデジタルものづくりを楽しむ方が少しずつ増えてきているようです。3DプリンターやCNCフライスは、いろいろな分野でのDIYの幅を広げてくれたのです。そこで、改めて両機が「できること」の説明と、「どういうときにはどちらの機械を使うといいのか」使い分けのポイントをお教えしましょう。
CNCフライスと3Dプリンターは、共にX、Y、Zの3つの軸をコンピュータ制御することによって造形を行う機械です。
3Dプリンターは、複雑な形状の樹脂部品を作るのが得意です。家庭でも使える安価でコンパクトな3Dプリンターは、溶かした材料を下から上へ向かって何層にも積み重ねていく「FFF(熱溶融積層)」という方式が主流です。
一方のCNCフライスは、材料の塊から削り出していくので、精度や強度が必要な部品の自作には最適です。入り組んでいて複雑な形状は苦手だけれど、「切る」「掘る」「削る」と、いろんな手を使って形状を作れます。扱える材料も豊富なので、樹脂はもちろん、アルミや真ちゅうなど削りやすい金属によるメカ部品を作ることができます。
複雑な形状や、強度も精度も求めない部品には3Dプリンターを、精度が必要な部品や、割れたり摩耗したりしては困るような部品にはCNCフライスを使う、といったようにそれぞれの装置のメリットを生かした使い分けをしましょう。
第2章:意外とカンタン! 金属の薄板を切って曲げる「板金パーツ」
前回紹介した「リンク機構」の作例で使った部品はプレスの打ち抜き加工品でしたが、店頭では他にも、こんなふうに折り曲げられた大小さまざまな金具が手に入ります。これらはどれも大量生産品ですから、お値段も安いです。
この中から目的に合った金具がちょうどよく見つかれば安上がりですが、どうしても見つからないときは、金属を切って曲げて自作します。
金属を切る道具と言えば、丸のこ盤や糸のこ盤が一般的ですが、現実にはなかなか真っ直ぐきれいに切断できませんし、なにより慣れていないと非常に危険です。そこで使いたいのがCNCフライスです。CNCフライスを使って金属板をきれいにカットして、それを折り曲げて目的に合った金具やケースを作ることができます。この作り方を「板金加工」と呼びます。
手順を覚えてしまえば、このような「基板ケース」だって自作することができます。
○折り曲げ機の使い方(基板ケースの製作)
こんな紙の箱を思い浮かべてください。そして材料を紙から金属に置き換えると板金加工の箱がイメージできると思います。
みなさんも、一度くらいは紙箱の接着を剥がして広げてみたことがあるでしょう。箱を広げると一枚の紙になります。この状態を図面化したものが「展開図」と呼ばれるもので、上図の赤い点線が「曲げ線」です。板金加工では、まず作りたいものの展開図を作り、そのデータを使ってCNCフライスで材料を切っておきます。それを折り曲げ機にセットして、曲げ線にそって刃を当てながら圧をかけて曲げます。位置を変えながらそれを繰り返すと金属の箱ができるわけです。
もうひとつ、こちらの部品の折り曲げ手順を見てみましょう。
折り曲げ機の使い方(モーターマウントA)
紹介した2点の部品は、この折り曲げ機を使っています。初めて金属を折り曲げる人でも上手にできるように工夫されています。
○オリジナルマインド「折り曲げ機 MAGEMAGE」
金属を加工する道具には危険がつきものです。こうした道具を使ってものづくりを体験できる「ワークショップ」では、誰もが安全に作業できるようにプロが付き添って指導してくれるので、注意事項を守って指示に従えばちゃんとものが出来上がるようになっています。
それでは、最近各地に増えている「ファブスペース」ではどうかというと、ここはDIYのための場所と機械を借りる“工作室”です。事前に各機械の操作方法や安全な利用についての講習を受けた“作ることができる人”が自己責任で作業をする場だと考えて、ケガのないように安全に努めて利用しましょう。
ファブスペースご紹介
ここで全国のファブスペースの一部をご紹介します。施設によって利用できる設備と利用方法が異なるので、リンク先を確認して施設へ直接問い合わせしてください。
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