それ、ラズパイでつくれるよ
それ、ラズパイでつくれるよ——メッセだけならラズパイでいい
「Raspberry Pi」の活用例を紹介する連載企画「それ、ラズパイでつくれるよ」。
第11回はタッチスクリーンを利用してメッセージアプリ専用機を作る。
ラズパイポケットに突っ込んで歩く未来
スマホ。皆さんはスマートフォンをお使いだろうか。私のスマートフォンはどのアプリケーションを使っている時間が多いか教えてくれるのだが、それによるとメッセージアプリばかり使っているらしい。あなたももしかすると、誰かと連絡取るくらいにしか使っていないのではないだろうか。
それラズパイでできるよ。
そこで今回はラズパイを使ってメッセージを送受信できるスマホっぽいものを作る。
タッチスクリーンの組み立て
用意するのは以下のもの
- ラズパイ(Raspberry Pi 3Bを「2019-09-26 raspbian buster」で使用した)
- タッチスクリーン(今回は2.8インチ静電容量式タッチスクリーン「PiTFT Plus」を使用した)
- モバイルバッテリー
- 紙
タッチスクリーンはラズパイのGPIOピンにそのまま挿せるようになっているので、はめ込もう。そのまま電源を入れれば完成……とはいかず、画面は真っ白でうんともすんとも言わない。いくつかソフトウェアの設定が必要になる。
ソフトウェアの設定
まずはメッセージアプリへのアクセスを簡単にしておこう。ここではラズパイをHDMIでタッチスクリーンにつないだり、VNCで接続したりでデスクトップを表示する必要がある。メッセージアプリしか使わないので、デスクトップにショートカットアイコンを置いておけば良いだろう。今回は令和の人類がすべからく使っているであろうFacebook Messengerを使う。
WebブラウザーのChromiumでFacebook Messengerにログインし、右上の縦三点リーダーから「その他のツール」、「ショートカットを作成…」から名前をつけて作ってあげよう。ここで「ウィンドウとして開く」オプションはオンにしておくといい感じのウィンドウで開かれる。
次にソフトウェアキーボードの設定をする。
USBでお好きなキーボードをつなげたい方や、メッセージでは絵文字かGIFでしかコミュニケーションを取らない方は設定しなくても問題ない。コンソールを開き、たった1行実行すれば完了だ。
$ sudo apt-get install matchbox-keyboard
最後にタッチスクリーンの設定をする。
引き続きコンソールで、
$ cd ~
$ wget https://raw.githubusercontent.com/adafruit/Raspberry-Pi-Installer-Scripts/master/adafruit-pitft.sh
$ chmod +x adafruit-pitft.sh
$ sudo ./adafruit-pitft.sh
ちょっと待っていると解像度などいろいろどうするか聞いてくる。私は「resolution」を「3」、「rotation」を「2」、「text console」を「no」、「HDMI mirror」を「yes」とした。それぞれどういう設定なのかはPiTFT公式チュートリアルを参考にしてほしい。
時代遅れですなんて言われながらも、少し待っていると再起動するか聞かれるので再起動しよう。するとなんということでしょう。もはやスマホと言っても過言ではないものが手の中に!
はじめてのメッセージ
ラズパイマークのボタンから「アクセサリ」、「Keyboard」でキーボードを開くことができる。そして作成しておいたショートカットボタンでFacebook Messengerを開けば、新年会への参加連絡も簡単だ。
これにモバイルバッテリーをつないでおけばWi-Fiのつながる範囲でいつでもメッセージに反応できる。でもちょっといろいろむき出しで無骨がすぎるので外装も作ってあげよう。
外装の作成
外装の作成にはファストプロトタイピングの申し子となったプリンターを利用する。適当に書いてプリントすれば問題ないだろう。素材はA4紙、成形時間は約2秒だった。
チョキチョキ切って、
ガムテープとかでペタペタ貼っとけば、もうどこへ持っていっても恥ずかしくないスマホの完成だ。
メッセージはどこまでも追いかけてくる
あとはどこへ持っていき誰にどんなメッセージを送るかはあなた次第だ。どこへ行っても誰かからのメッセージから逃げられないのは、時には辛いかもしれない。そんな時は画面を下にしてそっと置いておけば良いのだ。ラズパイから通知音は鳴らない。
今回は、ラズパイを使って編集長と連絡を取れるようになった。
タッチスクリーンにはGPIOピンにつながるタクトスイッチが付いているため、電源ボタンなどとして利用することもできる。他にもより良いスマホのために開発できる余地は多くあるのでぜひ試してみてほしい。
※このコーナーでは、みなさんの「それ、ラズパイでつくれるよ」をお待ちしています。問い合わせフォーム(https://fabcrossjp/contact)からドシドシご応募ください。
参考リンク:
タッチスクリーン公式チュートリアル