RepRap Community Japan インタビュー
オープンソースで3Dプリンタを作る!——次世代ものづくりコミュニティー「RepRap」
2005年に英国パース大学のエイドリアン・ボイヤー氏が創設した「RepRap」はデスクトップサイズの3Dプリンタをオープンソースで開発するプロジェクトで、必要なプラスチック部品もその3Dプリンタ自身で出力できる「自己増殖性」が特徴だ。 日本で2011年に発足したRepRapの日本コミュニティー「RepRap Community Japan」の共同発起人にして、ご自身も3Dプリンタの開発者である加藤大直氏にお話を伺った。(撮影:fabcross編集部)
加藤 大直(かとう ひろなお)
Genkei 代表社員 兼 RepRap Community Japan 代表。
ニューヨークにて美術大学卒業後、現地の建築デザインオフィスで、プロダクトデザイナーとして多数のプロジェクトに参加。
プロダクトデザインの経験を生かし、デザインから設計まで手がけたオリジナルの3Dプリンタを次々と開発。現在までに開発した3Dプリンタは6種類にも及ぶ。日経、NHK、フジテレビ、テレビ東京など、メディア取材・出演多数。
RepRapとの出会いは大学で見た白黒のチラシだった
——まずRepRapと加藤さんとの出会いについて教えてください。
「RepRapはFDM(熱溶解積層)の特許が2009年に失効するのを見越して、2005年に英国パース大学のエイドリアン・ボイヤー氏が立ち上げたプロジェクトです。
米国のパーソンズ美術大学に在籍していた2009年に、「Darwin」という機種と「Mendel」という3Dプリンタが立て続けに出たんです。
それまで3Dプリンタが欲しくて、貯金して買おうかなと思ってたんですけど、プリンタ自体もランニングコストも高いし躊躇していました。そんなときに大学の構内で白黒で印刷されたチラシでRepRapを知って、すぐに調べまくりました。
まずMendelから手を付けたんですけど、米国は長さの単位がインチで、米国以外はメートルなんですよね。向こうのホームセンターに行くと全部単位がインチで、あまりよくわからずに適当な大きさのパーツを片っ端から買ってきて、設計に『合う、合わない』という作業を繰り返しているうちに32分の1とか16分の1インチというインチ独自の規格がようやくつかめました。
3Dプリンタを動かすソフトも当時は今ほど親切ではなくて、例えば出力物を支える「サポート材」をプログラム側で計算して自動的に出力する機能はなく、サポート材も込みでデータを作成したり、もしくはサポート材無しで設計したりする必要がありました。
その後、サポート材が自動的に出力できるようになったときは狂喜乱舞しましたよ、プリンタ捨てなくてよかった! って感じで(笑)」
——そこから2011年にRepRap Community Japanを立ち上げたんですよね。
「2011年の末に帰国しましたが、帰国前からネットを通じて交流があり、日本国内でRepRapの日本コミュニティーを立ち上げようと準備していたGenieさんと立ち上げました。
帰国する直前にGenieさんが“Make: Tokyo Meeting 11”に参加したのが最初の活動ですね。RepRapコミュニティージャパンは日本で3Dプリンタを作ろうぜ! みたいな感じで始めました」