RepRap Community Japan インタビュー
オープンソースで3Dプリンタを作る!——次世代ものづくりコミュニティー「RepRap」
——帰国後に加藤さんが開発された3Dプリンタ「atom」は、どんなコンセプトで作られたんですか?
「日本のデスクトップ事情に合わせたサイズというコンセプトで「Huxley」というMendelの縮小版である3Dプリンタと、「Prusa i3」という3Dプリンタをベースに、よりシンプルになるよう改良して、机の上にノートパソコンと一緒に置けるサイズにしました。
本国の設計データを基に、昔からマイコンを作っていた人や回路設計ができるメンバーと一緒になって、日本のならではの出力精度が高いものを目指しました。
機体設計は僕が担当しましたが、制御基板はRepRap Community Japanのメンバーが担当していて、その他にも回路部分やソフトウェアも含め純日本産の3Dプリンタです。
メンバーにソフトに強い人、ソフトもハードも強い人、ハードに強い人がいて、それがうまく噛み合って、思っていたよりも早く完成しました」
——オープンソースハードウェアということは、今も改良が続いているわけですか?
「atomの場合はベータ版の次のRC版という形に進んで、折り畳みができるように改良された方もいますし、facebookやmixi、Twitter等サービスを使って今もやりとりしながらatomやその他の3Dプリンタの開発を続けています」
日本人は潜在的に何でも作れる能力がある
——昨年あたりから日本でも3Dプリンタというキーワードがマスメディアでも取り上げられるようになりましたが、アメリカで盛り上がり始めた頃から3Dプリンタに触れていた加藤さんにとって、日本の今の状況はいかがですか。
「今、日本で話題になっている3Dプリンタは個人向けのものだと思いますが、1984年に発明された法人向けの製品と違い、個人向けの3Dプリンタは2005年に立ち上がったRepRapに世界各国のさまざまな人たちが参加して発展してきました。
RepRapからMakerBot(後にStratasysが買収)やBits From Bytes(後に3D Systemsが買収)のようなベンチャー企業が生まれ、Maker Faireでオープンソースの3Dプリンタが出展されるようになって、DIYが好きな人たちが『自分もこんなものを作ってみたいな』と思うようになり、ユーザーが毎年倍に増えて企業も個人もきれいに花開いていきました。
ただ、日本で3Dプリンタという言葉がメディアに登場したとき、個人向けも法人向けもごちゃまぜの状態で、以前からある法人向けの1台数千万円もするようなものと個人向けの廉価なものを並べて『なんでもできちゃう魔法の機械だ』と報道されるケースが多々ありました。3Dプリンタの表面的な部分だけではなくて個人でももうこんなモノが出来るんだ、という自分でできる3Dプリンタの面を、RepRap Japan Communityとして伝えていく必要性を感じています」