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kiluck(機楽)インタビュー

日本初! クラウドファンディングで成功した人型ロボットキット「RAPIRO」が得た学び

プロジェクトを通じて経験した失敗と学び

左)機楽の石渡昌太氏 右)ミヨシの杉山耕治氏 左)機楽の石渡昌太氏 右)ミヨシの杉山耕治氏

まず始めに、パーツを3Dプリンタで出力して最初のプロトタイプを製造し、それをもとに動画を撮影してKickstarterに投稿。イメージ動画ではなく、実物を操作してユーザーにわかりやすく表現した。その後、量産開発に向けた金型設計として最初のCADデータを石渡氏が作り、金型にするためのデータ変換や設計をミヨシ代表取締役社長の杉山耕治氏と一緒に行った。

「杉山さんとは、発生するであろうリスク、予算やタイムスケジュールについてコミュニケーションを行ってきました。クラウドファンディングだけで利益がでるとは当初から思っていませんが、日本初の製品をつくること、ミヨシさんが持っているすばらしい技術を表現できる製品を作れたらと思い、プロジェクト開始から互いに理解の不一致がないよう、慎重に議論を重ねました」(石渡氏)

ベンチャーと町工場のコミュニケーションの重要性

RAPIROの金型。ミヨシの技術をもとに、精密なプロダクトに仕上がっている。 RAPIROの金型。ミヨシの技術をもとに、精密なプロダクトに仕上がっている。

杉山氏は、勉強会でクラウドファンディングについて知ったきっかけがあり、仕組みに対する理解はすでにあったという。

「企画の相談を頂いた時、どういったタイムスケジュールなのか、試作品を作るのか、どのくらいの数の量産なのかといった事業計画について質問したら、私の想像以上に綿密な計画を石渡さんが考えていました。プロモーションに関しても方向性を持たれていたので、ある程度の道筋も見えました。ここまで熟考してきた石渡さんを信用し、この人と一緒に企画をやってみたいと素直に思いました」(杉山氏)

時間とクオリティのジレンマ

金型をもとに製品生成を行っている様子。 金型をもとに製品生成を行っている様子。

プロジェクト達成から約半年後をめどに配送予定として進めていたが、実際に作り始めると予想外のトラブルや課題も発生し、結果的に当初の日程よりも1カ月遅れで配送になったという。

「実際に組み立てを始めたら、部品同士のはめあいなど、微調整が必要だったため、金型を再設計する部分もありました。一般的な製品づくりは、ある程度固まってから販売日程を決めるのですが、クラウドファンディングでは作る前に発売時期をお知らせしないと支援者は集まりません。既存のお客さんへの対応をしつつ、一日でも早く支援者に届けたいという思いがありました。そのためにも、事前に自分たちの技術力や開発工数などを綿密に見積もることがとても重要だと学びました」(杉山氏)

製品設計において妥協したくない部分、中途半端なものはお客さんに届けたくないという開発者の思いから再度やり直しを行ったが、時間とクオリティのジレンマの中で最終的にどこまで詰めるかを考えなければいけないと石渡氏は語る。

「開発者としては、お客さんに提供できると自信をもって言えるクオリティに仕上げないといけません。同時にこれは、ミヨシさんの技術で作ったプロダクトでもあります。だからこそ、中途半端なプロダクトをリリースして、ミヨシさんの技術力に対する評判が下がっては意味がありません。だからこそ、製品クオリティはかなり意識しました」(石渡氏)

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