チームスケルトニクス・白久レイエス樹インタビュー
ものづくりはチーム力——スケルトニクス開発の根底にある組織づくり
ロボットを実用化し、新しい分野を開拓していく
スケルトニクスは、体の動きを再現する機能のため身につける人に合わせたオーダーメイドになっているという。そのため、誰でも装着できるような改良が必要だ。スケルトニクスは、フィードバックをもとに完成度を高めた製品へとブラッシュアップしていくと同時に、新しいものづくりにも挑戦していきたいと白久氏は語る。
「新しいもの、特にモーターを使わない人力制御ならではのニーズに応えるものを作っていきたい」(白久氏)
現在彼らが開発を進めているのは、搭乗したまま車に変形して移動できる「エグゾネクス」だ。出張のたびにスケルトニクスが自分で動いてくれたら、と思ったことがきっかけから、変形するロボットのアイデアが生まれたという。
「モデルロボットではなく、ヒューマンサイズから変形したり、ちゃんと搭乗できたり操縦できるものを作っていきたい。ものづくりを通じて、作ったものを世の中に還元し、誰でも使えるようなものにしていくのが目標」(白久氏)
今はまだ、F1を作っているようなものだと白久氏は表現する。これをプリウスなど一般の人が乗れる車のように、誰もが手にできるものにするのが目標だ。そのために必要な汎用性と、誰もが購入できる価格を目指し、一般的な材質をもとに、無動力で動かせる制御機構を通じて安く開発設計ができるようにしていきたいという。
エクストリームスポーツや、サイボーグオリンピックの分野に活かしたい
スケルトニクスは、エクストリームスポーツを筆頭に、エンターテインメントの分野での活用を想定しているという。将来的には、オリンピックやパラリンピックを融合した新しいスポーツのあり方を模索していきたいと語る。
「エクストリームスポーツのように、人間の身体を限界まで極めたものだからこそ、動作拡大スーツを通じて新しい可能性を見いだせると考えています。スーツを着た人同士や、3メートル級のロボットが戦ったりバスケットボールをしたりすると新しい迫力が生まれ、エンターテインメントの幅が広がってきます」(白久氏)
テクノロジーを活用して新しいスポーツ競技を模索する「サイボーグオリンピック」という研究が進んでおり、2020年に東京で開催されるオリンピックまでには、ロボットを通じた新しいスポーツのあり方を提示したいと、白久氏は将来のものづくりを見据えながら語った。
「オリンピックとかパラリンピックではなく、義手や義足を付けることで人間の能力以上を発揮するサイボーグオリンピックの可能性に期待したい。そこに対して、自分たちに何ができるかをこれからも挑戦していきたい」(白久氏)