V-Sido 吉崎航インタビュー
ロボット操作を誰でも簡単に──制御システム「V-Sido」に込めた思い
分業ものづくりで、互いの良さを掛け合わせる
「ロボットに指示を出しても、間違った動作をして事故が起きては意味がありません。これからの時代、ロボットの重要性がますます上がってきます。ロボットというハードウェアそのものを作りたいと思う人はたくさんいるからこそ、ロボットの中身をどうするかを考えることに意味があると考えました」
こうした発想のもとに開発されたのが「V-Sido」だ。V-Sidoは、ロボットを操作するシミュレータの画面と実際のロボットの動きを瞬時に同期させて制御する、というアイデアから生まれたもので、V-Sido専用のシミュレータを開発することから始めたという。
ユーザーは、ロボットの腕を上げたり歩かせたりする動きを、パソコンのマウスやスマートフォン、タブレットなどで直感的に操作することができる。あらゆるソフトウェアサービスに対応することができ、さまざまなタイプのロボット制御に応用できると吉崎氏は語る。
倉田氏との出会いとコラボによるクラタスの開発
吉崎氏は、V-Sidoを使って実際に市販のホビーロボットを動かす実験を行ない、その様子を動画共有サイトに投稿していた。クラタスを設計している倉田氏との出会いも、その動画がきっかけだったという。
「鉄で作ったロボットを動かしてほしいと頼まれたのが最初でした。高さ4m級の鉄でできた油圧式のロボットを動かすのは不安でしたが、V-Sidoを開発した時からすべてのロボットを制御することが目的でしたので、大きいから、油圧や鉄だからといって動かせないという言い訳はできません。難しいけど挑戦する価値があると思い、すぐに一緒に開発することにしました」
共にクラタスの開発に取りかかった2人は、「水道橋重工」というプロジェクトを立ちあげた。開発を行う中で決めた2人の約束ごとは「2人で1つのものを作りましょう」ではなく「お互いのものを合体させてすごいものを作ろう」というものだ。
ものづくりに従事する人は、ひとりですべてをやってしまう傾向にある。そうではなく、自分ができること、相手ができることを考えることが大切だと吉崎氏は語る。ハードウェアは倉田氏、ソフトウェアは吉崎氏と互いの領域に責任をもち、互いの技術を活かすようなコラボレーションをしようという意図がそこにはあった。