神田沙織、XYZプリンティングインタビュー
ものづくり系女子から見た、国境を越えた「地方とファブ」の未来
神田「プリンタがあればデータのやりとりだけで済むという意味で、ロジスティクスにとって変わるっていうシナリオもあると思います。これは途上国だけでなく日本にも言えることです。わたしのお婆ちゃんはよくあるシニア向け通販にハマってるんですけど。
商品が届くのではなく、テレビ上での購入操作と同時に隣で3Dプリンタが動き始めて、健康器具がプリントされちゃうみたいなこともあり得ると思います。実現するのは自分がお婆ちゃんになる頃かもしれないですけどね」
シェリー「逆に例えばインターネットでお父さんにメッセージを送る。だけど印刷が終わるまでは何が書いているか分からない。印刷が終わった後に、出てきた文字が『お父さん大好き』だったら、とても喜んでもらえると思います」
神田「それ、やろうかな!」
——今やったほうがいいんじゃないですか。3DプリンタのCMにもなりますよ(笑)。
シェリー「協力しますよ(笑)」
神田「お父さん、泣いちゃうかな」
シェリー「それをお母さんが後ろでこっそり見てるんですよ」
神田「そういうストーリーが必要で、少しずつ出来始めているファブラボのコミュニティに親子から女子高生まで、いろいろな人が入ってきて、『私だったら』に対応するコンテンツが増えていくのがポイントのような気がします」
——大分でお子さんや女性、学生にデジタルなものづくりが自然なかたちで受け入れられたというのは、ストーリーを増やして3Dプリンタができることの多様性を広げていく上では重要なことなんですね。
神田「そうですね。ここ(XYZプリンティングジャパンのショールーム)で言う話ではないかもしれませんが、誰も、3Dプリンタをどうしても使いたいとは思っていないんですよ。ただ、『こういうことができますよ』とか『こういうこともやっていいんですよ』と見せることで、作りたいものを自分で考えて、必要なツールを選んだ先に3Dプリンタを使うという流れが実際に始まっているので、そこにすごく意味を感じています」
大分ではじまったデジタルファブリケーション技術の波は学校、自治体、一般の人を巻き込んで都市部では見られないムーブメントになっている。
次回は大分県立芸術文化短期大学での講義と最終日の発表会のレポートを通じて「Product for 1000」の詳細について紹介したい。またファブ施設紹介コーナー「fabなび」でも「ファブラボ大分」を紹介する予定だ。