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神田沙織、XYZプリンティングインタビュー

ものづくり系女子から見た、国境を越えた「地方とファブ」の未来

XYZプリンティングのダヴィンチ2.0。2つの押出機を備えて2色の出力が可能。フィラメントはカートリッジ式になっているなど、安全性や取り扱いやすさに配慮されていて、同クラスのFFF(熱溶融積層)方式3Dプリンタとしては最も安い価格帯の製品。 XYZプリンティングのダヴィンチ2.0。2つの押出機を備えて2色の出力が可能。フィラメントはカートリッジ式になっているなど、安全性や取り扱いやすさに配慮されていて、同クラスのFFF(熱溶融積層)方式3Dプリンタとしては最も安い価格帯の製品。

——自治体とは思えないスピード感ですね。

神田「日本の地方自治体が初めて取り組むファブラボという中で、あの時のスピード感はかなり速かったように思います。

オープン後は芸短の学生がインターンとして入って、『ものづくり女子隊』というグループを作り、イベントやワークショップを手伝ってくれてるんですけど、春に『ファブラボ大分に来て3Dプリンタで遊ぼう!』という、ものづくり女子隊を使ったテレビCMを県内に流したらしいんですね。そうしたら地元でも話題になって、たくさんの人が来るようになりました。それも親子連れで、休日にショッピングセンターに行く感覚みたいです。都市圏のファブラボだとデザイナーやクリエイターが中心だと思いますが、大分は女性と子ども、学生というコンセプトがちゃんと今も生きてます」 

——女性や子どもや学生とデジタルファブリケーション技術との関わりについて、XYZプリンティングの本社がある台湾ではどうですか?

シェリー「台湾本社でも親子向けにさまざまな取り組みを進めていて、一つは3Dプリンタが使える環境をトラックの中に用意して地方を巡回しています。そういう意味では神田さんの取り組みに通じるところがありますね。

もう一つは大学と連携して、小学生から大学生までそれぞれの世代別に3Dプリンタについて学ぶカリキュラムを作っており、台湾師範大学(台湾で最もレベルの高い国立大学)でセミナーを開催したり、プリンタを寄贈したりするなどして、3Dプリンティングを広める取り組みを進めています。台湾でも日本と同じような問題があって、ネットやLINEだけでのコミュニケーションが中心になって、議論して考える力が弱まっているような気がしています。だからこそ、ものを作る過程の中でお互いにコミュニケーションをとって、人と人との関係が近くなって欲しいと願っています」 

——神田さんの大分での取り組みに協力されているのも最初から地方を狙ってのことだったのでしょうか? 

シェリー「狙っていたわけではなく、偶然でした。正直なところ、大分という地方だとは知らなかった」

神田「日本地図だとここかな?みたいな(笑)」

シェリー「そうですね(笑)でも、逆にそれが良かったと思います。東京とは違う流れの中でレーザーカッターや3Dプリンタが気軽に体験できる環境がごく身近にあるのはすごく良いことだと思います」

神田「東京を経由せず、台北と大分のファブラボがグローカル(グローバル+ローカル)な形で繋がって、一緒に何かできたらいいですよね。ファブラボって本当にローカル対ローカルで国も地域も超えて、ネットワークでつながるっていうのが基本の理念にもあるように、ローカルってハンディではないですもんね。外国人に大分という土地を知ってもらえたら、地方自治体としても大きな効果もあると思います」

——子どもや学生、女性も3Dプリンタを使いこなせるようになり、一家に一台ペースで普及する未来を志向されているのはお二人の共通点だと思うんですけど、一家に一台3Dプリンタが普及した時にどういった使われ方をされていると思いますか。

神田「3Dプリンタはソフトウェアや材料など、生態系であるかのように複数の分野が関わって成り立っている技術だと思うんですね。一家に一台ペースで普及するには今以上にさまざまな業種を3Dプリンタに巻き込んでいけるかが大事だと思います。

例えばもし化粧品メーカーが参画すれば女子は使うと思いますし、「またお父さんが使ってるから私も3Dプリンタ早く欲しい!」って女子高生が主張するみたいなこともあり得ると思います」

シェリー「女性であれば、靴のデコレーション用に可愛いリボンやハートなどを作ってその上にさらにビーズか何かをつけるというように、3Dプリントしたまま、ただそれをくっつけるのではなく、一つのベースを作ってその上にたくさんいろんなものを貼り付けて靴に飾ることもありそうですね。

特に小さい子どもや若い女性は、自分をアピールしたいという気持ちが結構強いので、3Dプリンタでうまく具現化して、自分で作ったアクセサリーやデコレーションを身近なものに散りばめることで自分らしさをアピールできる道具になれると思います。それからもう一つは自分のキッチンや洗面台をデコレーションして、生活の中に自分のデザインがある暮らしというのもあると思います」

神田「家のデコレーションって国とか地域性が表れる感じがします。一人一台とか一家に一台とかシナリオの中には必ずそうした文化がキーになると思います。一方で発展途上国でもファブラボが育ってきた背景もあり、インフラが整っていないからこそ、現地で作らなきゃいけないといった必要性に駆られる場合もあります。ファブラボを通して義足を作ったり水を浄化する装置を作ったように、文化や必要性のストーリーが本当に地域のものづくりを変えていくと思いますね」 

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