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明和電機&タカハ機工インタビュー

地方メーカーが明和電機とコラボしてコンテストを始めたわけ

「冷たい」法人向けの企業展とは真逆だった「熱い」Maker Faire

ソレコンのプロモーションも兼ねて2014年のMaker Faire Tokyo(以下、MFT)にスポンサー出展したところ、その雰囲気に圧倒されたという。

「商業ベースの機械要素技術展などにはたびたび出展していましたが、そういうところはビジネスライクで空気が冷たい。でもMFTは熱いんですよ。全く知らない人たち同士がその場でものすごく親しくなったり、展示しているものにみんなでツッコミを入れたりして、一瞬で親戚になれるような感覚がありました。あんな面白いイベントはほかにないと思いますね」(大久保千穂さん) 

タカハ機工がMFTに出展したV32エンジン。「何時間でも見ていられる」と来場者から言われたのが印象に残っているという。

ソレコンやMFTに関わるようになり、若手社員のモチベーションにもいい影響が出ている。

「アイデアが若い社員からどんどん出てきて、楽しみながら仕事に取り組んでもらえています。製造業って、言われたものを黙って同じように作る作業の連続で面白くないんですけど、若い人が楽しんでもらえるようなイベントがプラスされたことで、飽きずに仕事をしてもらえる要素ができて、良かったなと思います」(大久保千穂さん) 

明和電機が考える、作品と製品の間にあるもの

今回ソレコンにエントリーされた作品の中には製品化されてもおかしくないものがあった一方で、作品を製品化するためには、さまざまな課題と向き合う必要があると土佐さんは自身の経験を踏まえて話す。

「一番の課題はコストですね。量産品はアートと違ってたくさんの人が関わるし、失敗は絶対許されない。数千個とか一気に作りますので、コストはシビアに考えなければいけません。一方でみんなで面白がれるということがすごく重要だと思っていて、ソレコンの作品はどれも『私がこれをつくりました』という思いで愛情を込めて作っていると思いますが、製品化はそれを人に手渡していく客観性を持たせていく作業になるので、180度視点が変わります。

ものを買わせるというのは、ぶっちゃけ相手に物欲をどれだけ起こさせるかということなので、作ったものをどれだけフェティッシュで『うわ、いいな』思わせるかなんですよね。今日も非常に『ガムテープテクノロジー(編集部注:見た目は気にせず、とりあえずガムテープで何でも解決すること)』が多かったんですけれども(笑)、試作としてはいいんですけれど、製品にする際にはきちんとエッジを出すとか、細やかにやっていくことの積み重ねで魅力が出てくるので、そこはすごく大事ですね」

客観性があるものが売れるものであり、売れるためには自分が面白いと思えるかが鍵だと土佐さんは説く。

「物が売れる唯一の理由は面白いからであって、面白いものには非常に客観性があるんですね。外国人に見せても面白い、子どもに見せても面白い、おじいちゃんに見せても面白いというのがあって、それを突き詰めていくと、自分が絶対面白いと思うものを作るのが一番大事です。さっきの話と少し変わりますが、それを徹底的にやると、どこかでそれが客観的になってみんなも面白くなってくる」(土佐さん) 

「製品化、国際化」——第3回に向けて

今後は受賞作の製品化や海外からのエントリーに向けたプロモーションにも力を入れていきたいというソレコン。ものづくりのノウハウを持ったメーカーと、作品と製品の違いを熟知するクリエイターの両者が協力することで実現できることは多いという。

「来季は海外の展示会に出る計画があるので、そこでソレコンを紹介して感触を確かめて、次回は海外からの応募も受付けるようにしたいですね。受賞作の製品化についても土佐さんに協力いただきながら、国内の中小企業と連携して量産できるものを作って、新しいモデルケースを作りたいと思います」(大久保千穂さん)

「ソレノイドの意外な使い方っていうのを見たいですね。例えばコントロール+Sキーを押す装置(論文まもるくん)は、コンピュータのトラブルが増えたおかげで生まれたアイデアで、自動保存はコンピュータがやればいいのに、それをコンピュータがやってくれないからどうしよう……あ、隣にもう1個機械置けばいいんだっていうすごくシンプルな発想が個人的にはすごくツボでした。ああいうスピリッツがどんどん続いていけば面白いなと思いますね」(土佐さん) 

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