ばーちゃわーるど 亀田 誠インタビュー
「2020年東京オリンピックに参加するすべての国をもてなしたい」3Dプリンタでめざす新しい国際交流の形
ジオラマで「お・も・て・な・し」
今、亀田氏は、大使館とのネットワークを生かしながら、新しいテーマに取り組んでいる。
「2020年の東京オリンピックに参加する200を超える国や地域(現時点では未定)に関するジオラマを作っています。1カ国1個。オリンピックの選手村に置かせてもらって、選手の方に見てもらえたら理想的ですね。
実はオリンピックの参加国って日本人が知らない国がほとんどです。そんな国の選手がジオラマを見れば『おれの国の模型がある!』といって喜んでもらえるのではないかと。高級和食でもてなされるのとはまた違ったうれしさがあるはずです。現在、およそ50カ国終わりました。残り150カ国をあと3年で仕上げる予定です」
ただ未知の小国のジオラマを作るのは容易ではない。
「どんな小国でも、その国の人が誇りにしているものを題材にしたい。情報はネットではなく大使館の方などから直接聞くようにしています。間違った題材を選んでしまうのはいやなんです。
海外で『芸者スナック』や『忍者料理』なんて看板を見せられるとガクッとしますよね。それと同じです。でも、日本に大使館がないような国の場合、どうしても情報がとれず困っています」
初期の家庭用3Dプリンタはじゃじゃ馬だった
3Dプリンタ導入後、ジオラマ作りは順調かと思いきや、問題も多かった。
「ここまで来るのに、苦労しましたね。データの作り方から3Dプリンタの扱いまで。3年前の家庭用3Dプリンタは結構じゃじゃ馬で、ノズル詰まりやらプリントテーブルからのはがれやら、起こりそうな問題はひと通り経験しました。おかげで今はたいていのトラブルには対処できます。『ここがこうなったときはここに癖があるからこう直せばいいや』というような。
3Dプリンタもあくまで道具の一種です。大工さんがカンナを使うのと変わりありません。やはり使いこなすのは腕だと思います。同じデータでもこの人が出すとすごい、この人が出すといまいちということはよくあります。それでも、現在ではずいぶん性能があがりました。
情報交換のためのコミュティもあるので、分からないことがあれば利用できる。新しい情報の発信基地としても非常に重要ですね。そういった集まりだと『ばーちゃわーるど、って聞いたことがある』って言ってもらえることも多くなりました」
3Dプリンタを使っていくうちに見えて来たものがあるという。それは何か?