学研大人の科学マガジン 小美濃芳喜インタビュー
大人の科学のふろく開発者は、メカ、エレキ、ソフト、なんでもござれのスーパーエンジニア!
「(スーパーサイクルのカウルも)空力的なものだから、(航空力学を勉強していた)僕らの得意な分野になりますよね。実際、風洞実験やって性能を見極めるのも同じ」
出版社でものづくりのエンジニアに
そして帰国後入社したのは、これまた一見畑違いのように見える出版社の学研だった。学研は「科学」「学習」のふろくや学習教材の他、ピッチングマシンや電子ブロックといったヒット商品を産み出したトイ事業部など、以前からものづくりも手がけていた。さらにこの頃、バブル景気前夜の好況期ということもあり、さまざまな分野の技術の研究/開発を行う「技術本部」という部署が学研内に設立された。小美濃さんはここでCCDカメラや、超音波センサーによる駐車場の利用状況監視システムなど、さまざまな製品開発を行った。
「前の(学研の)ビルの地下には、NCマシン(※3)や旋盤とかいろいろあった。無線機用の『鳥小屋』っていう、網で囲って他所から電磁波が入らない環境を作るやつとか、塗装ブースだとか」
さらに、学研電子工業という電子部品の工場も設立され、チップマウンタ(※4)など本格的な工作機械も導入された。
1980年代後半になるとパソコンの低価格化などにより、学習教材の分野にも電子化の波が「マルチメディア」という掛け声とともに訪れる。技術本部もこうした機器の開発に取り組み、「まなぶくん」(※5)「イマジン学園」(※6)といったオンライン学習システムを開発。これらの取り組みは、学研CAIスクールなど現在の塾事業へもつながっている。その後、技術本部としては、社内のDTP環境や構内LAN、社内イントラネットの構築なども担当した。
「科学」のふろく作りに携わる
出版部門には、当初は子供向けの学年誌「○年の科学」のふろく開発の手伝いや、誌面での動作原理の説明などの形で携わり始めた。子供向けの科学教育においては、特定の領域の専門知識ではなく、幅広く、かつわかりやすく知識を伝えることが重要だ。これまで小美濃さんが重ねてきたメカ、エレキ、ソフトなど、さまざまなものづくりの経験が、ここでも存分に生かされることになる。
ほどなくして、「科学」の大人版である「大人の科学」シリーズがスタート。そのふろく開発にも携わっていく。子供向けよりも専門性を増した大人の科学マガジンのふろくには、「はばたき飛行機」や「USB特撮カメラ」など、小美濃さんのこれまでの経験がさらに反映されたかのようなラインナップが並ぶこととなる。