TECH PARKインタビュー
働くママの「私が欲しい場所」から始まったテクノロジー学童保育+ファブラボ「TECH PARK」
佐々木さんの声は地元の鉄道会社にも届いていた。
天神エリアにある福岡中央児童会館を民間のテナントが入居できる複合施設に建て替える際に、ビルオーナーの西鉄グループの担当者が佐々木さんに声をかけたことで、構想は加速度的に現実味を帯びる。交通のアクセスも良い立地で、またとない機会だった。佐々木さんはさっそく事業化に向けて準備をはじめる。周囲からの協力もあり、短期間のうちに事業化までこぎつけた。
子ども自身が学ぶことで成長する
TECH PARK KIDSはグルーヴノーツのエンジニアを中心に運営する。カリキュラムも自社で開発している。
「どうせ預かるなら徹底したいと思っていて、ありものの教材を触らせるのではなく、私たちが本気で取り組む形にしたかった」(佐々木さん)
「教えるのではなく学ぶ要素を重視しています。Scratchの体験会で、最初は2時間かけて先生がレクチャーするセミナー形式をとっていましたが、ある時にやり方を変えて、その日にやることをテキストに全て落とし込んだものを渡して、自由に進めるという形にしてみたら、40分で全員終わってしまったんです。中にはPCを触ったことがない子もいましたが、同じプログラムをもう一度書き始めたり、アレンジを加えてたりしているのを見て衝撃を受けました」(赤星さん)
子どもだから手取り足取り教えないといけないという発想は、子どもの可能性を制限するだけだと気付いたメンバーは、子どもの自主性を尊重する形にシフトした。遊びながら自分で学び、必要に応じて大人がサポートするというコンセプトは、社員が子どもと接して見出したものだった。
「この事業を社内に最初に話した時、思っていた以上に社員が前のめりで、カリキュラムを社員で作ろうとか、子どもが苦手なエンジニアも『どうせやるならスーパーエンジニアに育てる』とか、思っていなかった効果が社内にありました。社員の家族からも通わせたいという声をもらいました」(佐々木さん)