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マーブルマシンビルダー 原田直樹インタビュー

アナログシンセからピタゴラ装置まで生み出す異彩のMaker原田直樹の世界

2015年暮、毎年回を重ねてきた、アナログシンセを自作する電子工作の猛者が集まる「アナログシンセ・ビルダーズ・サミット」が15回目の開催を数えた。その会場で異彩を放っていたのが、たくさんのLEDがキラキラと輝き、ボールがレールの上を走り回る、nao_denhaさんこと原田直樹さんのブース。その会場を訪ね、Maker Faireなどでも人気が高い原田さんの作品についてお話を伺った。(撮影:加藤甫)

子供たちのハートを鷲掴みにするマーブルマシンとLEDバッジ

原田直樹さん。1965年愛知県名古屋市生まれ。1997年にヴィンテージ電子楽器のカタログなど、貴重な資料を収集したWebサイト「電子楽器博物館」を開設。近年はMaker Faireなどのものづくり系イベントに自作の電子楽器やLEDバッジなどの電子工作ガジェットを出品し、その製作者としても注目を集めている。 原田直樹さん。1965年愛知県名古屋市生まれ。1997年にヴィンテージ電子楽器のカタログなど、貴重な資料を収集したWebサイト「電子楽器博物館」を開設。近年はMaker Faireなどのものづくり系イベントに自作の電子楽器やLEDバッジなどの電子工作ガジェットを出品し、その製作者としても注目を集めている。

パチンコ玉ほどの鉄球が針金で作られたレールの上を転がる「マーブルマシン」や、ピューンという電子音を奏でる小さなシンセドラム、切手ほどの大きさの基板にたくさんのLEDが並びキラキラと明滅するバッジなど、子供たちの好奇心を掴んで離さないアイテムが並ぶブースは、どのイベントでも常に人だかりが絶えない。いずれのアイテムも驚くほど小さなサイズ。そこに回路や部品を収める設計や製作のスキルにも感心するが、全てが原田さんの手一つで作り上げられいると聞けば、その仕上げの美しさも感嘆するばかりだ。

原田さんが作るマーブルマシンは、ボールがレールの上をエンドレスに転がり続ける様子や、機械が動作する様を鑑賞して楽しむミニマルなアート作品。「ピタゴラ装置」や「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」などの「複雑な仕組みで簡単な作業を行うなんだかよくわからない装置」たちに通じる、独特な魅力がある世界だ。

しかし、マーブルマシン、シンセサイザー、LEDバッジと、それぞれのアイテムには、一見するとその関連性に脈絡がない。原田さんがこうしたモノに惹かれ、自らの手で作り販売するようになるまでには、どのような経緯があったのだろうか?

電子工作との出会い@中京地区

プラモデル大好きな工作少年だった小学生の頃、引っ越した先が愛知県内の春日井市だった。その土地柄は、工作少年としての生い立ちにも影響を与えた。

「家の近くにパチンコ台の工場があって、焼却炉の前にパチンコ台の部品が捨ててある。いわば宝の山。それを学校帰りに漁って、電池とつなげて遊んでました」

中学生になるとLEDが交互に点滅する電子工作キットがタミヤから発売され、早速購入。名古屋市内にある大須の電気街に初めて行ったのもその頃。LEDが単体で売られている様子に大興奮したという。部品を買い集め、タミヤのキットをユニバーサル基板上で再現したりもした。 

イベント会場に並ぶLEDバッジ(上)と制作を始めた頃のLEDバッジ(下)。スイッチで光り方を変えることができ、メトロノームやルーレット機能を持つものも。数千円で販売しているため、イベントのお土産として人気が高い。電子工作に興味を持ったきっかけも、小学生の頃にNHK教育テレビ「みんなの科学」で見た「発光ダイオードテスター」への憧れから。「とにかく発光ダイオードっていう言葉がカッコよくて。あの頃はビデオもなかったので、画面を見ながら回路図を写していました」 イベント会場に並ぶLEDバッジ(上)と制作を始めた頃のLEDバッジ(下)。スイッチで光り方を変えることができ、メトロノームやルーレット機能を持つものも。数千円で販売しているため、イベントのお土産として人気が高い。電子工作に興味を持ったきっかけも、小学生の頃にNHK教育テレビ「みんなの科学」で見た「発光ダイオードテスター」への憧れから。「とにかく発光ダイオードっていう言葉がカッコよくて。あの頃はビデオもなかったので、画面を見ながら回路図を写していました」

高校に進学し電子科に通うようになると、大須にも途中下車で通い放題。この頃には雑誌「初歩のラジオ」に掲載されたLEDバッジの回路図をもとに、他の電子工作の記事からその仕組みを抜き出し、それをバッジ化するなど、オリジナルなバッジを作れるほどになった。

シンセサイザーとの出会い@中京地区

一方、電子工作に興味があったこともあり、シンセサイザーという言葉は中1くらいの時に、何でも音が作れる電子楽器として聞いたことがあったが、興味を持つのは少し後のこと。

「つボイノリオさんのラジオ番組を聴いていたら、番組のテーマ曲がチッチキチッチキって聞こえてきて。友達からYMOの“ライディーン”だと教えてもらい、カセットテープを借りて聞くうちにどんどんのめり込んでいきました。それで、シンセサイザーを使うとYMOと同じようなことができるってわかって、バイトで稼いだお金でだんだん楽器を増やしていったんです」 

バイトで稼いだお金で買ったのが、右側のROLAND MC-202。アナログモノシンセ内臓のデジタルシーケンサで、外部シンセを含め合計2声を自動演奏できる。リズムマシンの同期も可能で、そのためにTR-606(リズムマシン)とSH-2(アナログモノシンセ)も買った。「新しいシンセを買う時は部屋のどこに置こうか考えてたら朝が来て、そのまま徹夜で買いに行ったりして。その時期はそれも凄く楽しかったですね」 バイトで稼いだお金で買ったのが、右側のROLAND MC-202。アナログモノシンセ内臓のデジタルシーケンサで、外部シンセを含め合計2声を自動演奏できる。リズムマシンの同期も可能で、そのためにTR-606(リズムマシン)とSH-2(アナログモノシンセ)も買った。「新しいシンセを買う時は部屋のどこに置こうか考えてたら朝が来て、そのまま徹夜で買いに行ったりして。その時期はそれも凄く楽しかったですね」
「社会人になって楽器をとにかく買いまくった」という、原田さん所有の機材の数々(1989年当時の様子)。 「社会人になって楽器をとにかく買いまくった」という、原田さん所有の機材の数々(1989年当時の様子)。

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