マーブルマシンビルダー 原田直樹インタビュー
アナログシンセからピタゴラ装置まで生み出す異彩のMaker原田直樹の世界
子どもと遊ぶピタゴラ装置から生まれたマーブルマシン
シンセサイザーを作り始めたのと同じ頃、子どもと一緒にピタゴラ装置のような仕掛けを作り遊んでいた様子をビデオに収め、世界中に発信されることを前提に説明は全て英語で書いてYoutubeで公開した。すると、海外からたくさんの反応を得られた。
こうした装置の仕掛けをモーターライズし、ボールの動きをループ化してマーブルマシンが生まれた。ちょううどその頃、Make : Tokyo Meeting などのものづくりイベントが急速に盛り上がりを見せ始める。原田さんもこうしたイベントへ出展すると、冒頭のように常に人だかりができる人気ブースとなり、動画への反響とともに製作のモチベーションとなっていく。
ブレッドボードシンセで電子工作入門
そうしたイベントで最近販売しているのが「ブレッドボードシンセ」。もともとは、子ども向け工作教室のために考案した、ミニマムな構成の光コントロールシンセのキットだ。学生時代から続けてきたLEDを使った工作と自作アナログシンセ、そして子どものための工作が融合し、一つの作品となった。
「電子工作入門というとArduinoはプログラミングがメインだけど、ブレッドボードシンセはそれとは違った方向で、始めるきっかけにちょうどいい規模。部品の挿し方で音に個性が出たり、拡張性もあるし、ちょうどいいのができたのかなって思っています」
自分が欲しいものへの共感と購入という形の評価
子どもとの遊びや自己満足の趣味として始まった原田さんのものづくりは、ネットなどによる人のつながりを得て、他者からの評価を目的としたものに変容した。さらに、動画などによる情報発信の多様化とイベントの興隆は、その作品に対する評価を示す形に販売/購入という形を加えることを容易にした。こうしたものづくりの楽しみ方の変革は、原田さんだけに起きた特殊な事象ではなく、同人誌や音楽など、さまざまなジャンルで同様に進行している事象だと言えるだろう。
最後に、これからそうした世界に入っていこうと思っている人たちへのメッセージを伺ってみた。
「イベントでのウケ狙いのためにするのではなく、自分が欲しいものを作って、それに共感してくれる人を探すためであって欲しいなと。共感してくれた人がそれを評価して買ってくれるっていう考え方。販売するようになると、自ずと出来上がりも洗練されてくる。そういうものとしてイベントを捉えていくと、いいものが作れるんじゃないかなと思います」