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Makers' Baseインタビュー

年間1万人が集まるファブ施設Makers' Baseが作る、シェアする時代のものづくり

一方で、参加の動機を調べてみたところ、SNSに写真を上げたいからという理由で申し込んだ人たちが意外と多いことが分かった。

「アンケートの結果を受けて、人に見せたくなる写真が撮れる要素をワークショップに盛り込むことにしました。たとえば、写真が撮りやすい位置に機材を配置したり、スタッフが加工しているとき写真が撮れるよう、お客さんにもその様子を見せてあげるように指導しました」

松田さんはそこに、SNS時代のものづくりのニーズを見いだすことができたという。作ることを写真や動画にしてSNSにアップできれば、お金を払ってくれる。すわなち、“もの”ではなく“こと”にお金を払うのである。そういった、さまざまなニーズに松田さんが気付いたころから、Makers' Baseは一気に成長していく。

Makers' BaseのCOO、松田純平さん。「夏には、音楽や食べ物も楽しめるフェスのようなイベントもやってみたいと思っています。ただ楽しいことをやりたいというのではなく、ここでしか買えないものがあるよということを知ってもらうことが目的です」 Makers' BaseのCOO、松田純平さん。「夏には、音楽や食べ物も楽しめるフェスのようなイベントもやってみたいと思っています。ただ楽しいことをやりたいというのではなく、ここでしか買えないものがあるよということを知ってもらうことが目的です」

外への情報発信に力を入れていくことで新しい顧客を獲得

ワークショップが充実してくると、さらに利用者やコンテンツを増やしていくために、外に向けた情報発信を積極的に行いたいと考えるようになった。それが、新宿伊勢丹や日本橋三越での期間限定の出店につながっていく。しかし、百貨店のバイヤーは完成品を売ることについてはプロだが、個人の作り手が作ったものを売ることに関しては慣れておらず、松田さんにいろいろと相談があったという。

「百貨店に来るような人はワークショップと親和性が高いように見えないかもしれませんが、欲しいものが自分で作って手に入ると分かれば、そこにお金を払う人は少なくないことが分かりました。海外にはフロアの中にDIY工房がある百貨店もあり、こうした取り組みもいずれ普及していくと思います」

そういったチャレンジを重ねていくことで地方都市からも声がかかる。2016年春には、JR博多駅前にできた商業施設「KITTE博多」内にMakers' Base Hakataをオープンさせた。

「東京や札幌の店舗がビルを一棟丸ごと借りきっているのに対して、Makers' Base Hakataは不特定多数の人が集まる商業施設の中にあります。そのため、他の店舗と違い、通りがかった人をいかに引き込むかということにポイントを置いています。時間がある人にはワークショップへの参加を、時間がない人にはオーダーを、本当に時間がない人には地元の作家が作ったものを薦めるなど、ニーズに応じたさまざまな体験を提供します。他にも、博多にはどんたくや山笠など大きな祭りがいろいろとあるので、そこで使うグッズのデザインコンテストを開くこともアイデアとして考えています」

5階には陶芸の工房とオフィスがある。Pinkoiの傘下で、ハンドメイド作品のECサイトを手掛けるiichの東京オフィスもここに移転してきた。 5階には陶芸の工房とオフィスがある。Pinkoiの傘下で、ハンドメイド作品のECサイトを手掛けるiichの東京オフィスもここに移転してきた。

2015年8月に札幌にオープンしたMakers' Base Sapporoに関しては模索が続いているという。当初は観光客を取り込むつもりでいたのだが、そこに対する魅力的なモデルがいまだに投入できていないと松田さんは分析する。とはいえ、大きな成果もあった。それは、地元の行政機関とのつながりが強くなったことだ。

「札幌で風呂敷のデザインコンテストを行ったときに、北海道経済産業局の職員の方が見学に来ました。そのことがきっかけとなり、北海道経済産業局や地元の銀行、北海道の酒造メーカーを巻き込んで『大吟醸を美味しくする風呂敷』のデザインコンテストに発展しました。現在は北海道産の日本酒を広く海外に紹介することを目的としたボトルデザインコンテストの計画も進んでいます」

2階ではデジタル加工全般を行うことができる。 2階ではデジタル加工全般を行うことができる。

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