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大人の科学マガジン ふろく開発者インタビュー

大人の科学マガジン最新号ふろく「カエデドローン」開発秘話——最難関教材に挑んだ2人の匠

プログラミングでプロペラの回転数を制御

回転系飛翔体のコントロールのためには、機体を傾けてやればよい。傾ければ「揚力」の分力が生まれ、傾けた方向へ前進する。機体を傾けるには、回転するつばさに同期させる形で、メインモーターに付いたプロペラの回転数を変える方式を取った。

「つばさが1周するごとに1回、特定の場所で回転体の挙動を変え、全体の動きを制御することを『サイクリックコントロール』といいます。

周期的に回転するつばさのピッチを変えれば、飛行の安定性が崩れ、全体が斜めに傾き、方向が変わります。回転系飛翔体独特の制御方法です。同期を取るための信号(赤外線を使用)を出させるため、マイコンICのプログラムが必要です。この開発が容易ではなく、実用に耐える試作レベルのものができるまで約1年。ブラッシュアップして量産品に載せられるレベルにするにはさらに半年かかってしまいました。完成したのは2016年の7月です。すでに発売まで半年を切っていました。時間はかかりましたが、ほぼ満足のいくものができました。このプログラミングに関しては特許を申請中です」

「1枚つばさの飛翔体のために新たにプログラムを開発しました」制御部の苦労について語る小美濃氏。 「1枚つばさの飛翔体のために新たにプログラムを開発しました」制御部の苦労について語る小美濃氏。
コントローラーの基板。小型化をすすめ、最終的に右下の筐体に収まった。 コントローラーの基板。小型化をすすめ、最終的に右下の筐体に収まった。

思うように飛ばない機体。迫るデッドライン。

同期プログラミングを開発する過程でプロペラの回転数を変えるだけでは、コントロールができないことが判明した。

「ジャイロ効果で機体が安定しすぎて、傾きが作れなかったのです。これでは上昇はしてもコントロールできない。そこで空力的な解決方法として、コントロールタブを付けることにしました。コイルと磁石でタブを持ち上げ、『へ』の字を作ることでつばさ仰角を上げる作戦でした。機体を傾ける上では一定の効果がありましたが、ユーザーが操縦するにはまだ難しい感じでした。さらに機体に基板からコイルへ向けて、線をはわせねばならず、組み立て上も困難を伴います。誰もが作れて誰もが操縦できなければ商品になりません。この方式はあきらめざるを得なくなりました。気がつけば7月も後半。年内発売を目指すなら、1カ月後には量産用の試作が必要です。さまざまな方法を試しましたが、うまくいかず、完全に行き詰まってしまいました。新しいアイデアが必要でした」

つばさにコントロールタブをつけた機体。ユーザーによる組み立てが難しく、断念した。 つばさにコントロールタブをつけた機体。ユーザーによる組み立てが難しく、断念した。
「土壇場で開発が行き詰まってしまいました」当時の状況を思い出す小美濃氏。 「土壇場で開発が行き詰まってしまいました」当時の状況を思い出す小美濃氏。

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