リーマンサット・プロジェクトインタビュー
「趣味は宇宙開発」と言い切るサラリーマン集団、小型人工衛星打ち上げに挑む。
人は誰でも星空を見上げ、宇宙に想いをはせる瞬間がある。だが、普通はそこまでだ。手を伸ばしても宇宙には届かない。それでも諦めきれない人たちが、週に1回、週末の東京に集まり、人工衛星を介して宇宙との接触を図る。ほとんどのメンバーは宇宙業界とは無縁の普通のサラリーマン。自分たちの手で地球を回る小型の人工衛星を作ろうとしている。
グループの名はリーマンサット・プロジェクト(rsp.)。「リーマン」は「サラリーマン」の「リーマン」だ。
アマチュアグループの、夜空を焦がす熱い思いを探る。(撮影:加藤甫)
サラリーマン、宇宙を目指す
その昔、人工衛星の打ち上げは、国家プロジェクトだったが、昨今は大学の研究機関や企業など民間の手で行われるケースも多くなってきた。しかし、何の知識も技術もない人たちが手がけるとなると、尋常なことではない。途方もないプロジェクトは新橋の居酒屋から始まった。
「3年前、サラリーマン同士で集まって、新橋の居酒屋で飲んでいたとき、『宇宙開発、やりたいよね』と盛り上がったのが発端でした。
調べてみると、小型の人工衛星の打ち上げなら可能性がありそうだということになりました。勢いのまま、Maker Faire Tokyoに出展して、仲間を募りました。
『宇宙が好き』『人工衛星、打ち上げたい』ということだけで集まった仲間が40人あまり。今は80人を超えています。技術系の会社に勤める人も参加していますが、多くはまったくのアマチュアです。宇宙や人工衛星を直接仕事としている人はごく一部です」
「趣味で集まったグループですから、コミュニケーションとして飲み会は欠かせません。みなさん毎回楽しみにしています。自然と宇宙への想いを熱く語る場になります。
専門的な技術はなくとも社会人としての経験は豊富ですから、ひとつのプロジェクトを成功に導くノウハウは持っています。技術系と広報系に組織は分かれますが、各々の特技を生かし、自分がどんな貢献ができるか、自発的に行動しています。
活動はあくまで本気。一般の人に宇宙開発を身近に感じて興味を持ってもらうことも大きな目的のひとつです。『サラリーマンでも宇宙を目指せる』ってわくわくすると思いませんか?」(小泉氏)