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リーマンサット・プロジェクトインタビュー

「趣味は宇宙開発」と言い切るサラリーマン集団、小型人工衛星打ち上げに挑む。

夢を乗せて人工衛星が飛ぶ

rspが打ち上げを目指す人工衛星は“Cube SAT(キューブサット)”と呼ばれるもので、縦×横×高さが各々10cmの立方体。思った以上に小さい。試作品の内部を見せてもらうとぎっしりと基板と配線が詰まっている。

「この小さな箱の中に電源、センサ、通信といった各種のシステムを組み込みます。重量1kg以内という規定があるので、その範囲で収めなければなりません。
筐体も重要です。まずはロケット打ち上げ時に必要な耐振動性。そして宇宙環境は過酷です。諸条件にもよりますが、日なたで120℃、日かげでマイナス150℃と、200℃以上の温度差があります。
また常に降り注ぐ放射線から機器を守る必要もあります。耐熱や耐放射線といった仕様を維持しつつ、民間の人工衛星ですからデザインもなるべくクールなものにしたい。また、人工衛星である以上、軌道を回るだけでなくミッションが必要です。我々のそれは、衛星そのものを宇宙で撮影し、軌道上の姿勢を目視すること。つまり『自撮り』ですね。そのためのアームとカメラを組み込む予定です」(小泉氏)

打ち上げはいつ頃を予定しているのだろうか? 技術班の嶋村氏に聞いた。

「1号機の打ち上げは2019年ですが、前年の2018年に試験機として0号機を打ち上げます。1回で成功を目指すのはいかにもハードルが高いので。
0号機でさまざまな知見を得て、そのデータをもとに1号機を上げるのが現実的な選択だと考えています。いずれもJAXAの宇宙ステーション補給機『こうのとり』(HTV)に国際宇宙ステーション(ISS)まで運んでもらい、ISSから高度400kmの宇宙へ放出となります。運用300日を目指しています」(嶋村氏)

「2019年に1号機の打ち上げをめざしています」と語る技術班の嶋村氏(右)。 「2019年に1号機の打ち上げをめざしています」と語る技術班の嶋村氏(右)。
試作機の数々。まずは作ってみることで課題が理解できる。 試作機の数々。まずは作ってみることで課題が理解できる。

成功の鍵は“地上”にもある

人工衛星にとって技術的に最も難しい点はなんだろうか?

「ひとつは姿勢制御ですね。高度400kmぐらいだとわずかですが空気抵抗があり、影響されます。強い放射線にセンサ類がやられ、コントロールができなくなるケースも想定されます。
通信も問題ですね。アマチュア無線バンドしか許可されていないので、速度が非常に遅いのです。速くても9600bps。ワンセグが128000bpsですから、単純に画像を送るだけでも膨大な時間がかかります。速度を補う送受信技術の開発が課題です」(嶋村氏)

人工衛星だけが問題ではない。打ち上げた後の運用もたいへんだ。そのあたりの事情を技術班の伊藤氏が語ってくれた。

「地上局の設置はプロジェクト全体で見ても難関ポイントのひとつですね。人工衛星の追尾のためには、コマンドを送り、データを受信しなければならない。そのためには見晴らしの良い場所に大きめのアンテナやルーフタワーを立てる必要があります。ローテーターなどの機材も設置しなければならないし、そもそも場所を借りるだけでも簡単にはいかない。地上でやらなければならないことはたくさんあります」(伊藤氏)

「人工衛星の運用は宇宙以上に地上での活動が鍵になります」技術班の伊藤氏は語る。 「人工衛星の運用は宇宙以上に地上での活動が鍵になります」技術班の伊藤氏は語る。

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