PLENGoer Roboticsインタビュー
エキスパートにしてスタートアップ——PLENGoer Roboticsが仕掛けるキューブロボ「PLEN CUBE」
オープンソースを採用した二足歩行ロボット「PLEN」シリーズ。主要パーツを3Dプリンタで出力可能で、ソースコードがオープンソースであることなど、ハッカブルであることが特徴だ。そのPLENを開発している大阪のロボティクスベンチャー、プレンプロジェクトが中国の大手EMSであるGoerTekグループと合弁会社を2016年に立ち上げ、PLENGoer Robotics(以下、PLENGoer)として新たなスタートを切った。
そして2016年12月にPLENGoerは新体制での第一弾製品として発表したのは、それまでの人型ロボットではなく、箱型ロボット「PLEN CUBE」だった。
PLEN CUBEは、一辺が約75mmの立方体で、カメラ、ディスプレイ、スピーカー、マイクを備えている。顔やジェスチャー、音声を認識し、声とジェスチャーで指示を出せる。静止画や動画を撮影して保存し、ネット上に配信して共有する機能もある。上半分が360度回転する機構部分の動きには、長年のロボット開発のノウハウが生かされている。
「サービスロボットが爆発的に広がる前から、生活の中でロボットを何に使うべきかという議論がありました。ペットの見守りや介護補助、子どもとの遠隔コミュニケーションなど、この数年でさまざまなロボットが登場しましたが、切実なニーズに応えたロボットが出ていないのも事実。
そうした背景から『無いと困る』ロボットではなく、『あると便利』というコンセプトで開発したのがPLEN CUBEです。
お年寄りがロボットを通じてコミュニケーションするようなシーンを想定したロボットが増えていますが、それは端的に言えばお金を持っている層の市場を狙っていてニーズで見ていない。ロボットを通じて孫と毎日話すより、年に1回でも来てくれるほうが嬉しいわけで、ニーズが無いところにロジックを持ち込んでも受け入れられない。たくさんの小さなニーズに確実にこたえるものを作りたいわけです」(PLENGoer Robotics CEO赤澤夏郎さん)
ロボットはさまざまな技術の集合体の上に成り立つものだが、それ故にどのような機能を盛り込み、利用者にどういった新しい体験や利便性をもたらすかが重要だ。
「技術面よりも、UX(ユーザーエクスペリエンス)のコンセプト開発に時間をかけました。ロボットに何をさせるかという部分の答えを出すまでに、かなり議論と試作を繰り返して、ようやく仕様が固まったのが2016年夏。そこから中国のGoerTekの担当者ともやりとりをしながら試作開発を進めています」