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exiiiインタビュー

筋電義手からVRに進出したexiii——これまでに得たものと、これからのこと

DMM.make AKIBAでの日々、そして広がる開発の輪

2020年には20兆円以上の規模になるといわれているVRハードウェア市場。スタートアップから大企業に至るまでさまざまな企業が参入していく状況下で生き残るためには、開発のスピードを加速させながら、ビジネスの可能性をいち早く開拓しなくてはならない。
オープン時から入居していたDMM.make AKIBAを出て、自分たちだけのオフィスを浅草橋に借りた背景には、いち早く事業化したいという思いがあった。新しい事業に向けて巣立つことができたのは、DMM.make AKIBAでの日々があったからこそだと山浦氏は振り返る。

「(DMM.make AKIBAでの日々は)間違いなく良かった。設備も一流だし、そこにいる人たちも面白くて話が弾むし、たくさんのアドバイスを受けました。起業した当初、僕は社会人3年目のメカエンジニアで電気系やソフトはほとんど初心者だったので、そのままの技量でオープンソース化しても、おそらく今のようなものにはならなかったと思います。AKIBAにいるテックスタッフやCerevoにいる先輩エンジニアに質問させてもらうことで、ちゃんとしたものが出せるようになったとは思いますね。

惜しかったのは義手をビジネスまで持っていくことができず、僕たち自身がAKIBAを活かしきれなかった事。ビジネスまで持っていくと、それに合った人脈が一気に広がる場所だったので、もったいなかったかなと思います」

DMM.make AKIBAではnnfなど同年代のスタートアップから、常に刺激を受けていたと振り返る山浦氏。 DMM.make AKIBAではnnfなど同年代のスタートアップから、常に刺激を受けていたと振り返る山浦氏。

スタートアップを応援する中小企業の存在も心強い存在だった。

海内工業さんやミヨシさん、由紀精密さんは早い段階から声をかけてくれて、工場を見学しながら、どういったことができるかという話も頂きました。そういうオファーをスタートアップに頂けたのは本当にありがたかったですね。
世田谷にある松山工業さんも、ものすごく応援してくれて、工場の見学会に招待いただいて、そこからさまざまな企業につないでくださったり、試作用に端材を提供いただいたりして、本当に感謝しています」

筋電義手をハブとして広がったネットワークをEXOSで最大限に生かしていくことが、これまでの厚意に対する恩返しだと山浦氏は考えている。

※米調査会社 TrendForce調べ http://press.trendforce.com/press/20151204-2210.html

VRへの期待、そしてexiiiだからできることは

EXOSのデザインモックアップ EXOSのデザインモックアップ

筋電義手という高価なテクノロジーを、3Dプリンタとスマートフォンという民主化されたツールに置き換えることに興奮を覚えたように、次のフィールドであるVRに賭けるものも大きい。

「VRがコミュニケーションの形を変えていくのは間違いないと思います。skypeのようなオンラインのミーティングが全てVRに置き換わり、無限にあるホワイトボードや写真を組み合わせて、実際に顔と顔を突き合わせる現実のミーティングよりも効率的になるかもしれません。

さらに言えばクリエイティブな環境を一新する可能性もあります。例えばCADにしても、これまで三次元のものを二次元の画面の中で無理やり見て、あれこれ考えていたものが一気に変わるだろうし、頭の使い方や表現方法も変わっていくかもしれない」

取材当日は試作機を体験した。開発にはこれまでのノウハウが生かされている。 取材当日は試作機を体験した。開発にはこれまでのノウハウが生かされている。

現在開発中のEXOSはVRの世界で触れたものの感触を再現する外骨格デバイスで、ガタやゆがみを抑えることで関節角度や力を正確に伝えられるように設計されている。外骨格のように手を覆う形状が手や指の4カ所の関節をカバーするようになっており、つまむ、握る、などの基本的な動作を忠実に再現できるという。モーターによる制御でVR空間での感触を再現するほか、健常時の手の動きを再現するといったリハビリへの応用や、ロボットの遠隔操作など、さまざまな活用方法を見込んでいる。

今後は開発メンバーの拡充もさることながら、どのような活用方法があるのか、自らの手で市場を生み出す必要がある。

山浦氏と小西氏(左)の2人体制になったexiiiだが、現在は開発者と事業開発担当を募集中。 山浦氏と小西氏(左)の2人体制になったexiiiだが、現在は開発者と事業開発担当を募集中。

「機械的にも、まだ解決しなくてはいけないことがいっぱいあって、そこにはモーターの制御も肝になってくるので電気的な部分の課題にも取り組む必要があるし、VRで視聴するデバイスとの橋渡しをするソフトウェアも開発する必要があるので、全方位的にエンジニアは募集しています。

ただ、このVRからの触覚という新しい感覚が生かせるアプリケーションやコンテンツって、まだ見つかっていなくて、自分たちで悶々と考えていても仕方がないので、事業開発系の人材も募集していますし、EXOSに興味のある企業との協業も考えています」

新しい挑戦にあたって、今後の自分たちのありかたについて悩みながら時間をかけて話し合い、答えを出したというexiii。EXOSのコンセプトや自分たちが成すべきことについて語る2人の言葉には迷いがないように感じた。EXOSが製品化される頃にはVR市場はハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ共に今以上に充実したものになっているだろう。その中でどのような体験を私たちに提供してくれるのか、今から期待したい。

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