PETS開発チーム「fOK」インタビュー
ものづくりコミュニティから生まれたパソコンを使わないプログラミング教材“PETS”が歩んできたステップ
ワークショップから得られた「気付き」
——中尾さんはどうして秦さんを知ったんですか?
中尾:TMCNが入っていたオフィスでたまたま働いていたというのが最初のきっかけです。共通の知人がTMCNにいてそこでPETSを知りました。
「これでワークショップをやりたいから、カリキュラムを考えてくれないか」という話が出て、関わるようになりました。
ちょうどその頃、4歳になる娘にプログラミングをパソコンで教えていたんですが、娘がハマりすぎて目を痛めちゃって。PETSならその点安心です。それも関わろうと思った動機のひとつです。
——プロトタイプができてから、たくさんワークショップをやられたようですね。
中尾:最初はTMCNの仲間内でやって見せる程度でしたが、自分の塾でやりたいという人が現れて。
だんだん評判になっていろいろなところから声をかけてもらえるようになりました。最近では、2020年の小学校でのプログラミング教育必修化に向けて体験授業とかでやらせてもらうケースも多くなりましたね。のべでいえば、おそらく1000人ぐらいの子どもたちに触ってもらったんじゃないでしょうか。そこで得た知見を商品にフィードバックする形でブラッシュアップを進めました。1年半ぐらいそんなことを続けていました。
——具体的にワークショップからどんなものが得られたのでしょうか?
中尾:ハードウェアの部分では、安全性や耐久性、量産化へ向けての工夫などです。カリキュラムの面では適切な難易度ですね。自分で気付くことをカリキュラムの基本においていますから、独学的にどんどん進められることが重要です。先生にはつまずいたときだけピンポイントで聞く。そこからまた一人でやっていける。そういうカリキュラムを作ろうと思うと、課題は簡単すぎても難しすぎてもいけない。難易度を細かく調整する必要あります。
また、一つの課題に対して一つの気付きがあるのもカリキュラムの基本と考えています。自らの気付きを重ねることで前に進め、理解が深まるからです。それが学んでいる証拠だと思います。
——なぜデザイニウムとは別の会社を起こしたのでしょうか?
秦:ワークショップをやっていく中で分かったことのひとつが、すべての子どもたちにとってのベストなソリューションというのはあり得ないということ。
どうしてもPETSにハマらない子もいます。そうだとすれば、PETSを売るためだけの会社を作るのは方向性が違うよな、と思いました。PETSは扱うんですけど、いろいろな教材に教育カリキュラムを載せて、子どもたちそれぞれに合ったソリューションを提供する会社を目指そうと。それがfOKとなりました。