PETS開発チーム「fOK」インタビュー
ものづくりコミュニティから生まれたパソコンを使わないプログラミング教材“PETS”が歩んできたステップ
PETSは海外の方がハマる?
——なぜKickstarterに出そうと思ったのですか?
秦:2016年の秋に国内で先行予約販売を行いました。反響はある程度予想通りで、国内市場はいけるだろうと思いました。海外市場に目を向けたときに、Kickstarterに出せばマーケティングとして有効かなと。結果としては、海外より国内からの需要が多かったんですが。ただ、出したことで海外市場にも本気で取り組もうという気持ちが高まりました。SXSW(サウスバイサウスウエスト)への出展もその流れです。
——SXSWではどんな反応がありましたか?
秦:海外の教育関係者はプログラミング教育に関しての知見が深く、PETSにも大いに関心を持ってくれました。カリキュラムに関してもオリジナルを土台にして自分たち独自のカリキュラムを作りたいという人が多かった。うまくやれば海外の方がハマるのかな、という感触を持ちました。
中尾:展示会の前に別の場所で子どもたち向けのワークショップができたのも大きかったですね。やってみると日本と同じ反応が返ってきました。まあ、リアクションはアメリカの子の方がオーバーですが。展示会でも体験をもとに自信を持って説明ができました。
親子で作り、長く使う教材に。
——将来へ向けての展望を教えてください。
秦:最終的にはすべてをオープンにしたいと考えています。基板だけを売って筐体などは自分で切り出して、という選択肢もあってほしい。データをもとに親がレーザーカッターで材料を切り出し、子どもといっしょに作るとか。単なるおもちゃをだと消費されて終わりですが、たぶん一から一緒に作れば愛着も湧いて大事に使ってもらえるかなと。
また、PETSのいいところは拡張性にもあります。例えば一つの課題が終わって、その後超音波センサーを付ければ、新しい課題に取り組めるとか。きっと長いこと使い続けられるはずです。
中尾:日本では、デジタル教材が学校に導入されたとき、改良したくてもデジタルだから手がつけられない、という先生が多かった。PETSなら自分で変えることが可能です。学校市場には合っている教材かなと思うので期待しています。国内外を問わず、保護者や教育関係者などには自由に使ってもらえればいい。ただできれば、我々と同じビジョンを持ってもらえるとうれしいですね。
最後にビジョンを示した絵を見せてもらった。秦さんが最初にイメージしたPETSのある風景なのだそうだ。近所で身近な人が教える寺子屋のようなものを想像したとのこと。
「実はPETSは“STEP”の逆さ文字なんですよ。文字通り段階を踏んでここまで来ました」
そういうと秦さんはいたずらっぽく笑った。